一ヶ月に2回満月を迎える月を「ブルームーン」という。 そのブルームーンを見ると願い事が叶う・・・・。





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「履物を揃える自由」

...2018/09/30 10:15...

大型で非常に強い台風24号が接近中。
九州地方では、近づいているではなくて、既に真っ只中
でしょうか?今回の台風は掛け値無しに凄い台風のようです。
国際宇宙ステーションからの台風の画像には、見たことも
ないような、大きくぱっちりとした台風の目が写っていました。
撮影した宇宙飛行士は、「誰かが地球の巨大な栓を抜いた
ようだ」 とコメント。それだけ巨大なわけです。

7月の西日本豪雨や今月上旬の台風21号の被災地も
通過する恐れがあり、記録的な暴風になる可能性もあり、
関東や東海でも最大級の警戒が必要と呼びかけています。
各地に被害がなく通り過ぎますように・・・・・。
タノンマス 人(°。° *) この通り

さて
24日は 「十五夜」 ということで、東京も雲の合間から
たいそう見事な中秋の名月を眺めることが出来ました。
でも、仕事の都合で遅くなってしまったこともあり、
団子は調達できず、団子をお月様にお供えすること
が出来ませんでした。 お月様、ごめんなさい・・・。
かみさんは 「中秋の名月だったの?へ~」 でお終い。
季節の行事も、こうして薄れて行くんでしょうね。(笑)

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デジカメで撮ったのですが、東京の 「十五夜」 はこんな感
じで、秋の夜空を照らしていました。最初は雲がかかって
いて、 (下左) 心配したのですが、やがて雲が去り見事
な月。(上) だが、せっかくの月も雲に覆われて姿を隠し
てしまいました。皆が見つめるので照れて隠れたのかな?

月見れば 千々にものこそ 悲しけれ 
   わが身ひとつの 秋にはあらねど (大江千里)

月を見ていると、あれこれと悲しい思いが湧いてくる。
秋はわたしのところだけに来るわけではないのだが 、
悲しみを映すのは、やはり月がふさわしいのでしょう。
恋の思いを託すのも月、故郷を思い出させるのも月。
月は歌人たちの 「あはれ」 を受けとめてくれるのですね。

何はともあれ、空に煌々と輝くお月様を眺めること
が出来てよかった。曇りで中秋の名月の夜に月が
見えない場合の呼び名を 「無月 (むげつ)」 という
らしい。名月の夜が雨となってしまった場合は「雨
月 (うげつ)」 というようです。いずれにしろ 「無月」、
「雨月」 にならなくてよかったですよ。皆さんの所は、
秋の夜風を感じながらお月見を楽しまれたでしょうか。
毎月のように月を鑑賞する月があるけれど、
名月を見る月といえば、まさに今月のこの月ですね。

月々に月見る月は多けれど
      月見る月はこの月の月   (よみ人知らず)


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「履物を揃える自由」

珍しいワインが手に入ったので・・・と誘われ友人宅を訪ねた。
玄関先で挨拶していると、ちょうど息子さんが帰宅した。
靴を脱いだまま家に上がろうとしたので、彼は 「脱いだ靴は
揃えなさい」 と注意していた。そこへ一緒にお孫さんと帰宅
したおじいちゃんが一言。「靴を揃えるか、揃えないかは
この子の自由」 と言い出し、ひと悶着。彼と父親との
躾、子育て論争が始まった。彼の父は元校長先生。

「脱いだ靴は揃えなさい」 と、親がわが子によく言って
聞かせます。子どもたちも深く考えずに 「そうするもの」 だと
思い育ってきたはずです。「揃える自由」 があるということは、
「揃えないで脱ぎっぱなしにする自由」 もあるということですよね。
例えば、「片づける自由」 もあれば、「散らかしっぱなしにする自由」
もある。「しぶしぶ勉強する自由」 もあれば、「楽しく勉強する自由」
もある。「傷ついた人を助ける自由」 もあれば、「見て見ぬフリを
する自由」 も・・・と、きりがないくらい 「自由」 はあります。

このように考えると、私たちの生活は常に 「自由」 です。
そして、常にどのような自由を選択するのかの連続。
彼の父親は、何でも好き勝手に生きることを勧めているのではなく、
どちらを選ぶのか決める自由があるからこそ、人間としてより良い
ほうを選ぶことが大切で、それが教育の根源であると考えている
ようです。それは、ただ躾や知識を押し付けるだけでは、日々の
生活とかけ離れており、その詰め込まれた知識が実際には
役に立たず、もっとも大切な子どもたち自身が考える
心 (力) を育ててはいないということでした。

「なぜだろう」 「どうしてだろう」 という子ども自身の
中から自ら学ぶ意欲を引き出したい。ただ覚えるだけの
死んだ知識ではなく、生きた知識を与えたい。教室や机の
上での学びにとどまらず、日々の生活の中で問題解決に
取り組む力を育むことを大切にすることはとても大事です。

自由とは、自分のためだけのわがまま勝手、
好き勝手な自由ではありません。私たちには、靴を揃えて
脱ぐか、面倒だから乱雑に脱ぎ散らかすかの選択の自由が
あります。しかし、靴を乱雑に脱いだ場合には、自分の靴が
どこにあるか分からず、履くときには不自由を感じますし、
他の人にも迷惑をかけます。靴を揃えて脱ぐことが、
自分にとっても周りにとっても高いレベルでの自由が
得られることが分かるのでしょう。

自由とは何でしょう? これほど難しい言葉はありません。
よりよく生きる選択は、大人に限ったことではありません。
子供でも同じようにきちんと自分自身で選択が出来るために、
知識、教養、やさしさ、思いやり、生きる力などを学ぶことが
大切になのです。生活の中から、自然の中から、
生きた学びの場にしていきたいものです―。

こんな訓話を聞いたことがありませんか?
「親」 という漢字を分解すると、「木」 の上に 「立」 って
「見」 る、となります。これは、小鳥が巣立つ時に、親鳥は
少し離れた枝から 「大丈夫、がんばれ」 「こっちの枝に
飛んでおいで」 と声を掛けて見守る様子が描かれた
ものなのです。ここに親のあるべき姿があるのです。
決して手取り足取り教えるのではなく、親鳥のようにそっと
子どもを信じて見守ってあげなくてはならないのです。

お行儀や決まりごとに盲目的に従わせるのではなく、
子ども自ら考えて 「自発的によい規律をつくり」 守らせること、
その結果として 「自然に礼節に叶いつつある」 ことが重要。
子ども自身が試行錯誤を繰り返しながら、何が正しいかを
自然と理解できるようになるよう導いてやるべきであると。
彼のお父さんの教育方針に妙に納得して帰りました。
子どもの自立を見守ろう、ってことでしょ。「親」 の一字は、
我が子を気づかう、切ないまでの親心、そのものなのですね。


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特別展 「縄文―1万年の美の鼓動」 2018
    東京国立博物館 ・ 平成館

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今から約1万3000年前、氷期が終わりに近づいて温暖化が進み、
入り江や干潟が生まれ、現在の日本列島の景観が整いました。
この頃に日本では土器作りが始まります。縄文時代の幕開けです。
こんなに長く続いた時代なのに、学校の授業では一瞬だったと思
います。この縄文の生命エネルギー、縄文が発信する超時間的
未来、そのすべてが、わたしの想像力と野生力を刺激しました。
そんなわけで、会期終わりが間近にせまった頃に出掛けました。

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日本で初めて縄文時代だけに光を当てた今回の記念すべき 「縄
文展」 は、基本的に制作年代順となっていますが、それだけでなく、
テーマを設定し見るべきポイントを示してくれています。展覧会構
成に合わせ、見せ方にも大きく変化を付けているので、実は茶色
の物体しか展示されていないのに、実に 「多彩」 な魅力で溢れて
いるように感じました。

「国立博物館 (愛称 トーハク)」 (本館) (上)
東京国立博物館は明治5年 (1872)、文部省博物局が湯島聖堂
大成殿において最初の博覧会を開催したとき、わが国最古の博物
館としてその産声をあげました。日本で最も長い歴史をもつ博物館
です。本館 ・ 東洋館 ・ 表慶館 ・ 法隆寺宝物館 ・ 黒田記念館 ・平
成館の6個の展示館があります。日本を中心とした東洋諸地域の
美術作品と考古遺物約11万7千件以上を収集 ・ 保管しています。

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夏の暑い日でもあり、しかも夏休み中で学生や子供たちも大勢訪
れるだろうと予測して早めに出かけましたが、ご覧のような行列が
並びます。外でこれ位ならと思いきや、実は館内の1階ラウンジの
方にも行列が出来ていました。館内の行列が玄関外へと並んで
いるのです。皆さん傘を差していますが、日除け用に貸し出して
いました。熱中症対策だったのです。歴史好きの多いこと。

「平成館」
日本では最も古い歴史ある博物館の東京国立博物館の施設の
中の1つの平成館は、平成11年 (1999) 皇太子殿下のご成婚
記念として開館し、平成27年 (2015) にリニューアルオープン
しています。館内は1階が考古展示室となっており、考古遺物が
多数展示されており、石器時代から近代までの日本の歴史の
流れを展示物を見て学ぶことができます。2階が展示室。
平成館は、東京国立博物館本館より左奥にある別棟です。

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エントランスの正面階段下でチケットを見せエスカレーターで2 階
の会場へ進みます。 縄文展は2つの会場に分かれていました。
第1会場 (下左) は土器が中心、第2会場 (下右) は国宝の展示
と縄文の多種な土偶が中心なので、土偶の方からじっくり見たい
人は、2室目から見学することも可能でした。見どころ沢山。最後
のコーナーでカメラ撮影の可能な展示カ所があり、皆さん大変。
会場内は渋滞もありましたが、まあまあ鑑賞が出来ました。

縄文時代の造形美にスポットを当てた展覧会です。
わたしの縄文時代の知識は、中学生のときの歴史の授業で止ま
っていて更新されてないんですけど、今回は考古資料に美術の
視点から迫ると聞いて、それだったらわかるかもしれない・・・・と。
博物館はいつも適度な解説をキャプションに書いてくださるので、
不勉強でも何とかなるかも思ってましたが、予想を超えてはるか
におもしろかったです。特に土偶が! 一度にあんな量の土偶
を見たのは生まれて初めてかもしれません。

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突然ですが、問題です。江戸時代が約300年弱です。平成に至
っては30年でその幕を閉じますが、縄文時代って何年くらい続い
たかご存知でしょうか? 驚くことなかれ、何と一万年以上も続い
たのです。大切なので何度も書きますね。一万年!です。

本展では 「縄文の美」 をテーマに、縄文時代草創期から晩期まで、
日本列島の多様な地域で育まれた優品を一堂に集め、縄文時代の
人々が生きていく上で作り出したさまざまな道具に宿る 「暮らしの美」。
縄文土器の造形美の変遷をたどる 「美のうねり」。縄文土器と世界各
地の土器を見比べる 「美の競演」。国宝に指定された火援型土器や
土偶が集う 「縄文美の最たるもの」。縄文時代の願いや祈りを体現し
た造形を集めた 「祈りの美、祈りの形」。そして、岡本太郎ら芸術家
や作家が愛した縄文の美を紹介する 「新たにつむがれる美」。最大
のみどころは、縄文時代の国宝6点が集結すること。さらには教科
書でもおなじみの土偶などが展示されています。

第一章 暮らしの美
氷期が終わった日本列島は温暖で湿潤な気候に変わり、人々は
この豊かな自然環境を利用して狩猟や漁撈 (ぎょろう)、植物採
集などをしながら、竪穴住居に暮らす、定住型の生活を始めます。
煮炊きのための土器や調理道具から、猟や漁に必要な武器、
それを作るための道具まで、生活のために生み出された様々
な道具に表れる美意識を観ていきます。

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会場の入口には、縄文時代の年表と出土品を表した日本各地の遺跡
マップ。そちらで一度、縄文時代について、一通り学んで進みます。

重要文化財 「磨製石斧」 縄文時代前期 秋田建立博物館 (左)
秋田県東成瀬村上掵 (うわはば) 遺跡出土
石器には、打ち欠いただけの打製石器と、磨いて仕上げた磨製石器
があります。このうち木を伐る斧 ( オノ) として使用されたと考えられる
石器が磨製石斧です。石斧の材料には硬くて粘りがある、緑色をした
蛇紋岩が多く使用されました。うっすらとタテに筋を入れたりしてとても
丹精込めて磨かれています。 これは秋田県で出土し、石は北海道産
のものなんだとか! 謎が深まります。石には魔力があるのかも!

重要文化財 「尖頭器」  旧石器終末期~縄文時代(草創期) (右)
長野県南箕輪村 神子柴遺跡出土 個人蔵 (伊那市創造館寄託)
そのままペンダントになりそうなきれいな紡錘形の石器は、木の先に結
びつけて大型動物に向かって投げるなど、槍として使われていました。
狩りの対象はゾウやオオツノシカといった大型動物から、イノシシやシカ、
鳥など中型で動きの素早いものに変わりました。尖頭器で大きい動物を
追っていましたが、縄文時代には石鏃を矢の先に付けてすばしこい動
物を狩るようにもなります。石の表情が現代アートのようにも見えました。

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重要文化財 「木製編籠 (縄文ポシェット)」 縄文時代中期 (左)
(青森県三内丸山遺跡出土 ・ 縄文時遊館保管)
縄文時代の遺跡から出土した編組製品で立体的な形が分かる全国
唯一のものです。植物などで編んで作られた小さな籠で、もはや何の
植物かわからないくらい真っ黒でした。「縄文ポシェット」 という可愛い
通称を持つ籠には、クルミの皮が残っていたとのことです。それも展
示されていました。森を歩きながら木の実を採って、ここに入れてい
た姿が浮かびますね。古代のクルミ! ロマン!

重要文化財 「土製耳飾」 縄文時代(晩期) (右)
(東京都調布市下布田遺跡出土   江戸東京たてもの園蔵)
多摩川中流域の遺跡から出土した直径約10センチの極大型の色鮮
やかで優美 な 「土製耳飾」。縄文人は、髪飾りや耳飾りなどの装飾
品を身につけて自身を飾っていました。漆の赤やヒスイの緑、鹿角や
貝の白など、そこには現代と変わらない美意識が存在したのでしょう。
耳飾りは見事な透かし彫りで、モチーフは花なのか植物なのか・・・・。
現代のイヤリングみたいに、てっきり輪っかを耳たぶに挟むのかと思
っていたら、耳たぶに穴をあけて耳飾りをまるまる嵌めこむらしい!
イメージ図が描いてあったけど、あれ痛くないのかな・・・・・。

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「微隆起線文土器」 縄文時代(草創期) 青森県立郷土館蔵 (左) 
青森県六ヶ所村遺跡から出土したもので、縄文草創期に製作され
た土器は、縄目も横一列で非常にすっきりしています。底が尖った
筒状の土器で口に向かってわずかに広がる。一見、シンプルな土
器ですが、等間隔に丁寧に刻まれた水平方向の線は、上方では
一部に波文様がほどこされて、アクセントとなっています。その薄
さといい、下方に向けての曲線美といい、口縁のリズムある隆起
といい、侮るべからずの一品です。

重要文化財 「壺形土器」 縄文時代 (晩期) 文化庁蔵 (右)
青森県十和田市滝沢川原から出土。縄文晩期になると縄目の文様
は平らになり、形状も立体というよりエンボス加工のような控えめな質
感へと変化しています。実用本位なシンプルな形の中で、陶磁器の
絵付けのように、あくまで 「入れ物」 としての機能を邪魔しない程度
のデザイン性へと後退しています。

第二章 美のうねり
いよいよ本格的な縄文土器が登場。露出展示もあって、見ごたえが
ありました。縄文時代の名前の由来になった縄目文様は、縄文時代
草創期後半から見られるようになり、中期になると立体的な装飾に。
後期・晩期には沈線で描く文様が増えます。縄文土器の造形の移り
変わりを見ることができます。

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重要文化財 「深鉢形土器」 縄文時代 (中期) 道訓前遺跡出土
群馬 ・ 渋川市教育委員会蔵 (左)
「深鉢形土器」 は、ねん土紐の貼り付けと半肉彫の沈線によって
描かれた滑らかな曲線文様。これらは縦横無尽のようでありながら、
破綻することなく見事に器面に描き尽くされています。口縁には大
きな環状突起、底部を覗く部分全体を埋めるように流文 (渦模様)
が刻まれていました。これを見て、琳派の流水模様が日本人に
とって根源的なものなんだと思いました。

重要文化財 「片口付深鉢形土器」 縄文時代(前期) (右)
埼玉県ふじみ野市 上福岡貝塚出土 個人蔵
片口 (注ぎ口) が付いた深鉢形土器は、関東地方縄文前期の関山
式土器に出現します。胎土に植物繊維を含んでいますが、胴部の羽
状縄文の美しい土器です。 片口の配された口縁部付近には竹管を
引いたうえに粘土紐が貼付され、胴部の羽状縄文と組み合わさって
複数段の文様を構成しています。線刻の模様も緻密でした。

第三章 美の競
日本列島だけではなくアジアのほかの国やヨーロッパの土器を紹介
もしていました。約1万年前の各地の文化を垣間見られました。しか
し、一番インパクトがあったのは、一緒に展示されていた日本の 「焼
町土器」 でした。やっぱり縄文式土器の存在感は別格ですね。

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「彩陶鉢」  新石器時代 (後期)  東京国立博物館蔵  (左) 
中国甘粛省あるいは青海省から出土した物です。彩陶とは赤みが
かった胎土の表面に黒、赤などの顔料で文様を描いた土器のこと。
両面には渦巻き状の文様が大胆に描かれています。中国の先史
時代のなかでも、ひときわ華やかな彩陶が作られた甘粛省の馬家
窯文化期 (前31003年頃~前2000年頃) の物のようです。煮物
などの盛りつけに使っても、はたまたサラダボウルとして使っても、
ちょうどいいサイズねと、後ろで見ていたおばさんの声に苦笑い。

重要文化財 「焼町土器」 縄文時代 (中期) (右)
群馬県道訓前遺跡出土 群馬 ・ 渋川市教育委員会蔵
焼町土器は浅間山麓から中信地方、群馬県にかけて分布する土器。
その派手な装飾にはメガネ状の突起・曲線・多数の点などの抽象的
な文様がつけられている。それらの記号には、縄文人のどのような
メッセージが隠されているのだろうか。実用品でないと疑問もあるが、
内面には煮炊きの際の焦げつきがみられるようです。人形の文様が
あり、口縁部から底部まで複雑な模様が丁寧に描かれています。

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縄文時代は、旧石器時代が終わったおよそ1万3000年前から
約1万年間続いた時代を縄文時代と呼びます。その名称は縄目
の文様をもつ土器が使われたことに由来します。縄文時代の始ま
りに少し遅れて氷期 (ひょうき) は終わりを迎え、日本列島は温暖
で湿潤な気候に変わり、現在と同じ山や森、そして川や海といっ
た景観が整います。当時の人びとは、この多様な自然環境を利
用し、狩猟や漁撈、植物の採集を基本的な生業として定住生活
を行いました。また土器や石器といった実用的な道具に加え、
装身具、土偶や石棒といった儀礼の道具などを作り出しました。

第四章 縄文美の最たるもの
縄文時代の遺跡は9万件以上ありますが、出土品で国宝に指定
されているのはわずか6件。その6件が初めて一堂に会します。
さすが特別展! 360度透明なガラスケースで展示されていた
ので、いろんな角度からじっくり鑑賞してきました。実物の美しさ
は、写真で受けた印象の何十倍でした!

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「国宝 ・ 土偶 中空土偶」 縄文時代 (後期) 北海道著保内遺跡
出土  函館市蔵 (函館市縄文文化交流センター保管) (左)
函館市茅部地区で、地元主婦が農作業中に畑の中から発見した
のが 「中空土偶」 です。内部が空洞に作られていることから中空
土偶と呼ばれています。両腕が失われていますが、肩が張り出し
た立ち姿の自立しない土偶です。頭部から脚先まで全身が薄く
精巧につくられており、文様構成にも優れています。男性っぽい
特徴も持っていますが女性のようです。国宝としての十分な風格
と存在感を放ちながら、古代からの無言のメッセージを伝えよう
としているかのようでした。見れば見るほど引き込まれてしまう
不思議な魅力を持っているんですよ。

「国宝 ・ 土偶 縄文の女神」 縄文時代 (中期)) (右) 
(山形県舟形町 西ノ前遺跡出土)
これが 「女神」 なの? とつい思ってしまいますが・・・・、この土偶
は一応、胸があり、妊娠中に濃くなる正中線があり、女性ということ
になっています。ただ、顔がまったく表現されていないところにミス
テリアスなものを感じますよね。上半身はあっさりしているのに、下
半身はどっしり。後ろの方から見ると、ウエストのくびれ具合がすご
いんです。 一体、どういう人が作ったのだろうかと考えてしまいます。
こういう土偶があると、『宇宙人じゃね?』 っていう話が出てくるん
ですけどね。現代美術に匹敵する造形美といわれてます。

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「国宝 ・ 土偶 仮面の女神」 縄文時代 (後期)  (左)
長野県茅野市中ッ原遺跡出土  野市蔵 (尖石縄文考古館保管)
墓と考えられる土坑群の一つから出土したこの 「仮面の女神」 は、
死者への鎮魂と再生を祈るために埋葬されたと考えられています。
顔の表現が仮面をつけたような土偶は、一般に 「仮面土偶」 とい
います。この土偶は呪術師と思われる人のお墓から出てきている
ので、代々、その村の呪術師に継承されてきたものではないかと
思われます。しかも、女性の呪術師だったのではと思われます。
色々な祈りが込められていたものだったんでしょうかね。

「国宝 ・ 土偶  縄文のビーナス」  縄文時代(中期) (右)
長野県棚畑遺跡出土 茅野市蔵 (茅野市尖石縄文考古館保管)
膨らんだ腹部、ふくよかな下半身から豊穣の女神として 「縄文のビー
ナス」 とニックネームがつけられたようです。一般的に祭祀の途中で、
すべて壊されることが多かった土偶ですが、この 「縄文のビーナス」
は、小さな土のくぼみに横たえられ、完全な形で見つかったそうです。
このお腹の膨らみ具合から妊娠中の女性のようです。ヘルメットをか
ぶっているような形で結髪が表現されています。それから、よく見る
と内股なんですよ。(笑) 土偶は安産や子孫繁栄を祈るために作
られたと考えられ、まさにその祈りを体現したかのような土偶です。

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「国宝 ・ 火焔型土器」 縄文時代 (中期) 新潟県十日町市笹山
遺跡出土  新潟 ・ 十日町市蔵 (十日町市博物館保管) (左)
縄文土器と言えば誰もが思い浮かべるのが火焔土器。私などは、
火焔型土器を見るといつもソフトクリームのコーンを思い出してしま
います。(笑) 特徴は、まず鶏のトサカのような形 (鶏冠状) をした
4つの大きな突起がある事。これが火焔を表現しています。また突
起の間に鋸歯状のフリルがあります。さらに土器の開口縁部に周
囲の底部側と区別するためのメガネ状等の突起が付いています。
焦げが付着しているものもあり、煮炊きに使われたと思われ、そう
でない個体もあり、祭りなどの非日常的な用途に供されることも
あったのではないかと考えられます。

「国宝 ・ 土偶 合掌土偶」 縄文時代 (後期) 青森県八戸市風張
遺跡出土  青森 ・ 八戸市蔵 (是川縄文館保管) (右)
縄文時代の土偶のなかには、当時の人びとの思いを端的に伝え
るしぐさや行為をかたどったものがしばしば見られ、これは膝を立
てて座り、胸の前で両手を合わせるその姿から 「合掌土偶」 と呼
ばれ、祈りそのものの姿とも云われています。疑問だったんです
が、この 「合掌」 ポーズ、今の私たちにとっては祈るポーズですけ
ど、縄文時代にはもしかしたら全く違う意味のポーズだったりしな
いのでしょうか。実は出産の様子を表現しているという説もあります。
この土偶のチャームポイントは、口だと思うんですよ。なんだか、
しゃべりそうじゃないですか。漫画の吹き出しが浮かんでますよね。

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日本が縄文時代の頃の世界では、どんな状況だったのかといえば、
古代エジプトでは、この頃ハサミ、カミソリ、鏡がすでに存在し、クフ
王のピラミッドは43階建てのビルと同等の高さです。またインダス
文明が始まります。レンガ造りの家には、浴室と井戸があり、今で
いう水洗トイレまであったのです。世界にはすでに、すごすぎる文
明が存在しいてます。なんだか縄文時代が、ちょっと悲しくなって
気ますが、土器や土偶をじっとみていると、遠い遠いはるか昔の
先祖が、これらをつくって使っていたと思うと感動してしまいます。

第五章 祈りの美、祈りの形
縄文時代の祈りの美、祈りの形の代表が土偶 (どぐう) です。人間
のかたちをしたものが土偶ですが、土製品には動物、魚や鳥など
の色々な種類があります。それぞれが想いを込められてつくられ
ているようです。いったいどんな想いなのでしょうか?  教科書で
見た有名な土偶にも遭遇します。

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「土偶装飾付深鉢型土器」  縄文時代(中期)  (左)
神奈川県・大日野原遺跡 個人蔵 (神奈川県相模原市立博物館) 
海を越えて大英博物館にも展示された、大日野原遺跡の土偶装
飾付き土器です。縄文土器の口に、ちょこんと乗っかるように愛ら
しい土偶がついた大変珍しい土器です。容器の縁に小さなポーズ
土偶がくっついていて、うっかり 「コップのフチ子か!」 と突っ込
むところだったが、コップならぬ土器の現代にも通じるデザイン?
縄文版コップのフチ子さん。思わず笑っちゃいました。(笑)

重要文化財 「人形装飾付有孔鍔付土器」 縄文時代 (中期) (右)
山梨県・鋳物師屋遺跡出土  山梨・南アルプス市教育委員会蔵
南アルプス市の鋳物師屋遺跡から出土した縄文土器。土器にも、
人面付きとか人形把手付きとかあります。これは、「人形装飾付有
孔鍔付土器」 という長い名前。有孔鍔付は、つばにあな (孔) が
ありっていう意味。樽形の胴部には大きく口を開け、右手を上げ
る人が目を引きます。どこか歌っているようにも、こちらに語らい
でいるようにも見えます。土器は単なる容器としてだけではなく、
祈りの道具としての役割も担っていたようです。イヨー

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重要文化財 「ハート形土偶」 縄文時代(後期) 個人蔵 (左)
“インスタ映え” 必至のハート形土偶。言うまでもなく顔がハート形
をなすことから名がつけられたようです。現代では当たり前に使わ
れるこのハート形が、数千年前の日本に存在していたというのは
なんとも不思議な事実です。個性的なその姿から、多くの人に愛
されてきた土偶です。その人気から切手のデザインにも採用され
ました。写真だとエッジが立ってしまうのですが、実物は土で作ら
れた柔らかい雰囲気があります。そんなところも、実物を見る時
の面白さがありますね。何度見ても不思議な造形で、視線の先
が気になります。何を眺めているのかな・・・・・。

重要文化財 「猪形土製品」 縄文時代 (後期) (右)
青森県弘前市 十腰内2遺跡出土  青森 ・ 弘前市立博物館蔵
しっかりと大地を踏みしめ、威嚇するかのように前を見据える猪。
耳や尾、背中の毛を立て、威嚇している様子がよく伝わってくる
感じでした。イノシシをはじめ、縄文時代にはしばしば動物を象
った土製品が作られました。このような動物形土製品には、動物
そのものがもつ力を畏れ、敬った当時の人びとの思いが凝縮さ
れている気がします。自然に畏敬の念をあらわしていた縄文人
たちの姿が見られますね。現在と同じように縄文時代にも猪が
いたんだ~と、ちょっと感動しました。

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  重要文化材 「遮光器土偶」 縄文時代 (後期)
  青森県つがる市木造亀ヶ岡出土   東京国立博物館蔵 

日本でもっとも有名な教科書でもお馴染みの 「遮光器土偶」。
土偶といえば、この遮光器土偶を思い浮かべる人が多いでしょう。
その特徴的なアーモンド形の目の表現には、さまざまな解釈があり、
「雪中遮光器 (スノーゴーグル)」 に似ていたことに由来するとか。
小学生の頃に 「遮光器土偶」 を見て 「宇宙人」 説の洗礼を受け
ました。(笑) 何度見ても不思議な出で立ちをしています。

遮光器のような目に加え、大きな臀部、乳房、太ももと女性をかた
どっているといわれます。また、胴部には紋様が施され、朱などで
着色された痕跡があるものが多く、これは焼く際にひび割れをしな
いようにするためだと考えられています。完全な状態で発見される
ことは稀で、足や腕など体の一部が欠損していたり、切断された状
態で発見されることが多いという。多産や豊穣を祈願するための儀
式において土偶の体の一部を切断したのではないかと考えられる。

第六章 新たにつむがれる美
考古学の研究対象としての 「縄文」 とは異なる 「縄文」 の魅力を
見出したのが作家や芸術家たちです。「芸術は爆発だ!」 の名言
で知られる岡本太郎でした。彼が考える芸術の本質に強く揺さぶ
りをかけたのが、東京国立博物館で出会った縄文土器でした。
岡本太郎や川端康成など、著名人に影響を与えたものが並びます。

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展覧会の最終章では、岡本太郎が東京国立博物館で出会った
縄文土器が展示されています。こちらは撮影可能なコーナーに
なっています。大勢のひとだかりで全体象を撮るのに苦労した。

「芸術は、爆発だ!」 という名言で知られた彼が、「思わず叫び
たくなる凄み」 と表現し、彼が考える 「芸術の本質」 に強く揺さ
ぶりをかけたのが、東京国立博物館で出会った縄文土器でした。
その土器は三つの 「深鉢形土器」。あの岡本太郎が言葉をなく
したとか、もうそれだけで彼が受けた衝撃が伝わってきますね。
芸術家であると同時に民族学者でもありました。「四次元との対
話・縄文土器論」 という論文を発表し、火焔型土器の写真を載
せ、考古学的な分析ではなく、造形美や四次元的な空間性、宇
宙観など社会学的、哲学的な見地から縄文土器を解釈しました。

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皆さん鑑賞が終わって、1階のラウンジで休憩をしている処ですが、
入場する前は、このラウンジの右側に何重もの行列が出来ていま
した。(上) やっと解除されてゆっくり休んでいる風景です。
それ程凄い人でした。お決まりの記念写真コーナーがラウンジ
に設置されていました。(下左) そして売店の様子。(下右)

まだまだ謎も多いですが、だからこそ想像がふくらむ縄文時代。
縄文の人たちも日々の生活の中で、大いに美意識を抱いていた
ということが全体を通して感じました。現代人から見たら縄文人は、
「原始的」 な生活を送っていたとイメージしがちです。「縄文人は
日々の暮らしのために必死に木の実を拾ったり、鹿を追い回し
たりする日常で、死産や怪我や病気も多くて大変な生活だった」
と自分も思っていました。しかし、そんな厳しい環境の中であっ
ても、日常生活における彩りや美意識を非常に大切にしていた
のではないか、と思わせます。今まで縄文人に対して 「原始的」
だというおごったイメージを抱いていたのではないか、そんな
ことを考えさせられました。

EE135266-1.jpg
縄文の世界観、豊かさ、自然との共生、そして文明とは何なのか、
さまざまなことを考えさせられました。結局、現在のところ、歴史的
区分としての先史時代、文明時代の分岐点は金属器の出現です。
すなわち土器から銅、青銅器、そして鉄器が画期になっているよう
に思います。金属器を知った社会が、やがて専制国家を生み、大
規模戦闘、すなわち戦争をひきおこし、人類はそのような 「文明」
の時代へと移行してきたわけです。進化が時には身を滅ぼす。
そう思うと土器の時代が、人の暮らしに合っているのかも知れない。
そんなことを思いながら平成館を後にしました。





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