一ヶ月に2回満月を迎える月を「ブルームーン」という。 そのブルームーンを見ると願い事が叶う・・・・。








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 「禅語に親しむ」

...2018/04/22 09:52...

毎日の生活の中で、
ちょっとした変化が訪れるのがこの時期。
通勤路に、まだなじんでいない背広姿が初々しい
新入社員らしき人を見かけることも多くなった。

毎年、毎年、この時期になると
「多分、初めて見た顔」 が増え、そして一ヶ月も
すれば、その顔が 「何度か見た顔」 に変わって
ゆくんでしょうね。その初々しい様子に、希望に
満ちた若かりし頃の気持ちを思い出します。

さて、我が社でも多くの新入社員を迎えた。
新入社員を迎えるにあたり、上司からこんな訓示
があった。人を育てるには、「やってみせ、言って
聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」
というものでした。

リーダーたるもの自分がまず先にやってみせること、
そしてやり方や理由など説明してやらせてみせること、
できたら褒めてあげること、そうしないと人は動かない。
逆説的に言うと、自分が出来もしないことをやらせたり、
一方的にしろと言うだけで何の説明もしない、
そして出来たことに対して褒めることをしないリーダー
には、誰もついてこない。そんな心構えで、新入社員
を迎えて欲しい、と諭していました。

同じ船に乗った仲間。
波に乗っている時もあれば、波に逆らって漕がないと
いけない時もあるでしょう。順風満帆とは行きませんが、
切磋琢磨し、お互いが助け合って、志をもって歩んで
いきたいと思いました。

暖かな晩春の陽を浴び ながらのんびり過ごしたい。
と、思うのですが、ゴール デンウイークに向かって
仕事は忙しい毎日です。 仕事が片付かないと
ゴールデンウイーク処ではない。
体に気を付けながら、もう少し頑張りたい。


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「禅語に親しむ」

遅い昼食をとりに社員食堂にいったら
意外と混んでいた。で、相席させてもらったら、
以前、同じ部署にいた顔なじみの方だった。

近況を伺っているうちに話の中で、
最近、お茶のお稽古ごとを始めたらしい。
お茶を習って教えられたのが、オトコの拝見のしかた。
「男?」 と聞いて思わずニタリとしたが、そんなわけが
あるはずもなく、「お床」、つまりは床の間の掛け軸や
生け花のことだったという。(笑)

オトコの中では、墨跡なるものが喜ばれるらしい。
墨跡とは、本来は墨筆で書いた筆跡のことをいいますが、
日本では特に禅僧の書跡を指します。したがって、
そのほとんどが禅語となります。私にはちんぷんかんぷん。
稽古を積むうちに、ちんぷんかんぷんも積み重なって、
さすがに、これではいけないのではないかと思いはじめた。
お家元にお目にかかる機会があったので伺ってみたらしい。

「やっぱり、禅語は学んでおくべきでしょうか?」
すると、意外や、「勉強なんかしなくてもいいです」 という
答えが返ってきたようだ。禅語の本を開いて、解説を読み、
「なるほど」 という気になっても、それは単に借り物の
知識でしかない。禅語には、ただ 「親しんで」 いればいい。
生活の中で遠くなったり、近くなったりしているうちに、
ある日突然、向こうから歩み寄ってくるのが、
合蓄ある言葉というものらしい。へ~と感心した。

だけど、我が家にはオトコもなし、そもそも 「親しむ」
べき禅語が身の回りにあったためしがない。
で、こっそり、「ほっとする禅語」 なる本を買ったようだ。
これが、なかなかいいのです。と、話された。

例えば、「日々是好日」 という言葉には、
一瞬一瞬を積み重ねて今日がある。
楽しい時も、苦しいときも、その時々を精一杯過ごす。
後になって、あの事があったから今がある・・・いい経験
をした・・・と、何かしら必ず身になっているもの。二度と
来ない毎日は、すべてかけがえのない 「好日」 なのだ。

「どんな日もいい日だといえますか」 という言葉が
添えてある。解説は、ふんわりほんわかしていて、
決して押しつけがましくない。この本をお手洗いに
置き、少しずつ、禅語に親しんでいるのだという。

禅語は、禅宗の僧侶たちの逸話や経典などから
取られた言葉です。難しいと思われがちですが、
知らず知らず、日本人の生活に根ざしている言葉や
教えが数多くあります。例えんば 「一期一会」、
「知足 (ちそく)」、「無功徳 (むくどく)」 なども禅語です。
短い一句の中に込められた、先人たちの禅の心や、
悟りの境地に触れてみるのも良いかもしれません。

「柔軟心 (にゅうなんしん)」 という言葉。
~固定観念に囚われない柔らかな心~
自分の考えが正しいと思い込み、他人の意見を
聞かないと、一向に視野は広がらない。相手を思いやる
広い心を持てば、見落としていたことに気づくこともある。
凝り固まらず、柔らかな心でいれば、生きやすくなる。
なるほど、なるほど・・・・。

お茶室に行き来するたびに、オトコの禅語に
親しんでいらしたというお家元と、親しみ方が随分
違うような気がしないでもないが、それでもいつか、
言葉は私にも歩み寄ってくれるかな、と苦笑いしていた。

単にお茶を習うというのに、随分と奥が深いもの
なんだなぁ~と感心した。情報と共に、新しい言葉が
日々生まれる現代。それら新しいものから学び、ヒント
となることも多数ある。だが、先人達の言葉や知恵には、
何百年も生き続ける計り知れない底力がある。
禅語もその1つだろう。

禅語その言葉を見たり、意味を理解することで、
日常のふるまいや作法から生き方に至るまで、
何かに気付かされたり、豊かな人生を過ごす
ヒントを得るきっかけにつながるかもしれない。

「平常心是道 」 ~ありのままの心で生きる~
日々精進していれば、いざ何が起きても、
自然と 「いつも通りのあなた」 でいられるのです。



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「至上の印象派展  ビュールレ・コレクション 
      国立新美術館 2018

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ルノワールの 「可愛いイレーヌ)」 やセザンヌの 「赤いチョッキの
少年」、 モネ晩年の 「睡蓮」 の大作など、極め付きの名品が勢ぞ
ろいした美術展が行われていたのですが、春休みは混雑するだろ
うと思ってしばらく待機していました。職場の女の子達が仕事帰り
に美術館へ行くという。ご一緒にと誘われたので、美術ファンとし
ては断る理由もなくお伴しました。(笑) 仕事帰りに美術観賞して
疲れを癒すのもアリかなと、「国立新美術館」 のある乃木坂駅へ。

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夜の美術館は、これで2度目です。照明が印象的です。(上) 
受付も人がまばらで、これで絵画鑑賞ができるの?という感じです。
でも、ゆったりと鑑賞できそうな雰囲気です。(下左) チケット売り
場はどこか寂しげです。(下右) 国立新美術館は、企画展 ・ 共催
展会期中の 金曜日は20時まで開館しているんですね。

「国立新美術館」
国立新美術館は、コレクションを持たず、国内最大級の展示スペ
ースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や 資料
の収集 ・ 公開 ・ 提供、教育普及など、アートセンターとしての役
割を果たす、新しいタイプの美術館です。

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館内に入ると行き交う人もまばらで、昼の混雑は見当たりません。
美術鑑賞にはもってこいの環境でしょうか。購入したチケットから
して美しいですね。この絵は、ルノワールの 「可愛いイレーヌ」 と
いう絵で、この展覧会の一押し作品です。(下右) 入口の奥に
「可愛いイレーヌ」 が表示されて吸い込まれそうです。(上)
すでに20万人の来場者があるという。美術ファンの多いこと。

「至上の印象派展 ビュールレ ・ コレクション」
会期   :  2018年2月14日 (水) ~ 5月7日 (月)
会場   :  国立新美術館 企画展示室 〔東京 ・ 六本木〕
当日券  :  一般1600,円 大学生1200円 高校生800円   

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今回の 「至上の印象派展」 は、スイス人の実業家エミュール ・
ビュールレによって収集された美術品。中でも印象派・ポスト印象
派の作品は傑作中の傑作が揃い、その中から厳選された約60点
が出品されますが、そのうちの約半数は日本初公開です。絵画史
上、最も有名な少女像ともいわれるルノワールの 「イレーヌ・カー
ン ・ ダンヴェール嬢 (可愛いイレーヌ)」、スイス国外に初めて貸
し出されることになったモネ晩年の 「睡蓮」 の大作。1度盗難に
あった話題の絵もあります。そのコレクションの質の高さゆえ
美術ファンから注目されています。

第一章  肖像
題名の通り肖像画が展示されています。ここは印象派より前のアン
グルなどの作品もあり、印象派へと繋がるルーツも含めた内容とな
っています。アングルから 「線描を大切にするように」 とアドバイス
をもらったドガの肖像画が向かい合わせにありました。

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ジャン = オーギュスト=ドミニク ・ アングル 「アングル夫人の肖像」 
1814年頃 (左)  日本初公開
アングルの妻を描いた肖像画。穏やかに微笑みながらこちらを見つ
める彼女の姿は、アングルにしては珍しく、やや粗い筆遣いによって
描かれている感じでした。服などは習作であるかのように素早く形を
暗示するようなタッチで済ませています。新婚の記念的肖像画とか。

エドガー ・ ドガ 「ピアノの前のカミュ夫人」  1869年 (右)
他の肖像画が、対象となる人物の上半身をピックアップして、その表
情をとらえるのに対して、ここでのドガは、夫人の表情だけでなく、ピ
アノが置かれた室内の雰囲気を同時に描くことによって、対象となる
人物をより深く描きだしている感じがして、斬新な肖像表現を生み出
していると思います。カミュ夫人は、ドガの眼の治療をしていた眼科
医の妻で、女性らしいつつましやかさと同時に高い知性を感じます。

第二章  ヨーロッパの都市
ヨーロッパの都市景観を描いた作品が並ぶコーナーです。18世紀前
半のカナレットが描いた写真のような風景。 それから百数十年後の、
色彩の中に全てが溶け合うようなモネのロンドンの風景。二つの作品
は風景表現の歴史と画家の個性のあり方を明確に教えてくれます。

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アントーニオ ・ カナール (カナレット)  1738-42年 (左)
「サンタ ・ マリア ・ デッラ ・ サルーテ聖堂、ヴェネツィア」 
ヴェネツィアの街並みや聖堂が描かれています。陰影がハッキリして
いて遠近感もリアルに描かれているなどかなり写実的で当時の様子
が伺えます。運河を行く船や聖堂の前の人々など穏やかな風景で、
理想的な光景のように思えました。絵の前に立って眺めていると、絵
の中の景色が時間の経過とともに日暮れて、夜更けて、朝日が昇っ
て・・・・・と変化していく様を見られるような気がしてきます。

クロード ・ モネ  日本初公開
「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」 1899-1901年 (右)
光に満ちた、捉えどころのない霧がかった都市の情景が描き出され
ています。 テムズ河畔のホテルの部屋から見える橋の光景を画布
に、画面の右手前には帆船が描かれています。橋の堅牢な構造を
感じさせることなく、光が反射する水面と霞 (かすみ) が織り成す
幻想的な世界を軽やかな筆触によって描き出しているようです。
初めて観るけど似た作品をよく観るので割と見慣れた感じかな。

第三章  19世紀のフランス絵画
バルビゾン派やロマン派、写実主義といった印象派の先駆けとなっ
た画家たちのコーナーです。ドラクロワやコローなど、古典的な主題
を取り上げながら、その様式で近代への扉を開いた画家達の作品。

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ウジェーヌ ・ ドラクロワ 「モロッコのスルタン」 1862年 (左) 
1832年にドラクロワは記録係としてフランスの使節団によるモロッコ
のスルタン訪問に随行しました。帰国後持ち帰ったスケッチブックは
7冊にもおよび、それを元に心動かされた異国情緒溢れる色彩や民
俗文化を題材にした作品を沢山制作したそうです。この時の記録や
記憶を基に、多くの従者に囲まれたスルタンの威厳のある姿が鮮や
かに描かれています。 日本初公開

カミーユ ・ コロー  「読書する女」  1845-50年 (右)
赤い服の女性が熱心に本を読んでいる様子が描かれた作品です。
彼女が着ている赤いジャケットの色合いと周囲の茶系の色調との
静かな調和が素晴らしい。穏やかな光が少女を照らし、目線を辿
ると読書をしている少女の自然体なポーズがとても気に入った。
静かな雰囲気がありコローらしい感じですが、印象派に繋がる大
胆さもあると思います。

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夜間でもあり、シ~ンと静けさが漂う館内は、何か音でも出すと悪
い感じがして、子どもの頃、図書館に初めて入った時の緊張感に
も似てソロリ、ソロリと歩きました。(笑)  昼間の混雑と違って夜間
もいいですけど、混雑している雰囲気も良いなぁと贅沢な悩み。

「エミール ・ ゲオルク ・ ビュールレ」
ドイツに生まれ、スイスで後半生をすごした彼は、第一次、第二次
世界大戦を経験し、実業家として成功して富を築きました。彼は心
の拠りどころとして美術作品を収集し、コレクションはチューリヒに
ある邸宅の隣の別棟に飾られました。彼の死後、別棟は美術館と
して一般公開されましたが、スイス国外にコレクションがまとまって
公開されたのは過去に数回のみでした。世界的に報じられた4点
の絵画盗難事件以来、一般公開が規制され、チューリヒ美術館に
全コレクションが移管されることになりました。今回はビュールレの
コレクターとしての全体像がみられる最後の機会というわけです。

第四章  印象派の風景 ―― マネ、モネ、ピサロ、シスレー
印象派の画家たちは、肖像、静物、風俗など様々な主題に挑戦し
ましたが、最も熱心に取り組んだ画題が風景でした。穏やかな風
景に新しい時代の要素を取り入れて、徐々に印象派らしい作品
になってゆくのがわかります。真印象派のコーナーです。

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カミーユ ・ ピサロ 「ルーヴシエンヌの雪道」 1870年頃 (左)
ピサロは戦争を逃れて数ヶ月、ロンドンに滞在しました。自宅が占拠
される前に描かれた作品で、戦争の前の平和な日常を象徴するか
のように、柔らかい陽の光が雪道を照らす穏やかな光景が広がって
います。 自分が雪国で暮らせるとは思えませんが、絵画に描かれた
雪景色って、どうしてこんなに心惹かれるんでしょう。 雑音を全て吸
収し、シ~ンとした静謐な空気、光を反射して世界をお化粧する雪
・・・・・ そういったものが感じられるような気がします。 日本初公開

アルフレッド・シスレー 「ハンプトン・コートのレガッタ」 1874年 (右)
シスレーは、生涯にわたってほとんど風景画のみを描き、画家として
デビューしてから、亡くなるまで画風がほとんど変わりませんでした。
みずみずしく描かれた水面と、水面で遊ぶ人々と、のどかな農村の
風景が一体となって溶け込んでいます。かなりザックリした筆触で描
いています。レガッタというスポーツを主題にすることで動きの要素も
取り入れています。これぞ印象派!という感じの風景画で、見ていて、
いつまでも飽きの来ない作品でした。 日本初公開

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クロード・モネ 「ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑」 1879年頃 (左)
一面に真っ赤なヒナゲシが咲いて、子供や女性が花を摘んでいる
様子が描かれた作品です。ヒナゲシの花束を抱える白いドレスを
着た女性と右側に描かれた二人の男児。自然の光景の中に女性
や子どもを描くのは印象派絵画の典型例であり、背景には教会や
村が描かれ空は曇天なのですが、ヒナゲシの赤が強くて華やかな
印象を受けました。これは今回の展示の中でも特に気に入った作
品のひとつでした。元々風景画は好きですけどね。

エドゥアール ・ マネ 「ベルヴュの庭の隅」 1880年 (右)
マネが夏の間過ごしていたパリ近郊の別荘とその庭のようです。
マネは読書に没頭する紺色のジャケットを着た女性を、鑑賞者の
まなざしが向くように画面中心に据える一方で、彼女が周囲の花
や草木と調和するように細かいタッチを巧みに用いて描いている
感じがしました。色とりどりの花がさいた明るい庭の様子がつたわ
ってきます。周囲の花や草木と見事に溶け合い、調和しています。
これぞマネと 「実感」 する作品と思いました。 日本初公開

第五章  印象派の人仏 ・ ドガとルノワール
新しい試みを積極的に取り入れたドガと、慎重に印象派的表現を
取り入れたルノアール。2人とも、印象派と一括りすることのできな
い、強烈な個性。ポスターにもなっている作品、ルノワールの 「イ
レーヌ・カーン・ダンヴェール嬢 (可愛いレーヌ)」 が展示されてい
ます。生で見ると本当にきれいですね。特に顔が印象的でした。

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エドガー ・ ドガ
「リュドヴィック ・ ルピック伯爵とその娘たち」
 1871年頃 (左)
ドガの友人で、芸術家でもあったリュドヴィック・ナポレオン ・ ルピッ
ク伯爵と2人の娘を主題とした肖像画。大胆で自由闊達なすばやい
筆致と、透明感ある色遣いによって巧みに表現されている感じです。
右側の子の顔が集中的に描きこまれ、他はほのめかす程度の描写
で非常にメリハリ効いています。左側の子は人形的ですし、父親に
至っては顔かたちがまあ認識できる程度で首から下は茶色をシャバ
っと塗っておわりですね。(笑) ドガならではの魅力? でしょうか。

ピエール=オーギュスト ・ ルノワール 「泉」 1906年 (右)
65歳であったルノワールの健康状態は深刻化していました。しかし
ながらその創作意欲が衰えることはなく、豊麗で愛らしい裸婦が生
命力豊かに描き出されています。豊満な裸体の女性がこちらを観
て微笑みながら髪を触る仕草をしている様子が描かれている作品
です。割とこの作品も輪郭が分かりやすいかな。健康的な美しさを
感じさせ、これぞルノワールの裸婦といった感じの典型的な作品
に思えました。 日本初公開

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ピエール=オーギュスト ・ ルノワール
「イレーヌ ・ カーン ・ ダンヴェール嬢 (可愛いイレーヌ)」 
1880年
今回の主役と言ってもよいであろう、絵画史上最も有名な少女像とも
言われるルノワールの 「イレーヌ ・ カーン ・ ダンヴェール嬢 (可愛い
イレーヌ)」 にはひと際人だかりができていました。とても美しくて、一
緒に展示されているその他のルノワール作品と見比べてみても、この
絵が最高傑作と言われているのが頷けます。

裕福な銀行家のルイ ・ カーン ・ ダンヴェール伯爵の長女、イレーヌを
描いた作品。当時8歳であったイレーヌの栗色の豊かな髪やあどけな
い表情が、背景に描かれた深い緑の茂みによって引き立てられてい
る感じです。この少女を見ていると何とも、その幼さと真の女性の美と
の間に醸された雰囲気に飲み込まれてしまうような気持ちになってし
まいました。一旦会場を出ようとして、もう一度戻って、また戻ってと、
結局4~5回鑑賞したほどでした。(笑) やっぱし本物を見て分かる
魅力もあるものです。間違いなく人々の心をつかむ絵だと思います。
まつ毛と瞳はフランス人形そっくりです。もし、この子の向かいがわ
にあなたがすわっているとしたら、どんな話をしたいですか?
私は暫く立ちすくんだまま動けなくなりました。

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闇に浮かぶ美術館もいいですね。円すい形の入口の前にある建
物は傘立ての部屋です。濡れた傘を館内に持ち込まない為 に設
けてあるんです。(下左) 御存知でしたか? 庭先からは夜の六本
木のビル群が見えます。さぞや賑やかでしょう。

今回の一番の目玉作品、ルノワール 「イレーヌ ・ カーン ・ ダンヴェ
ール嬢 (可愛いイレーヌ)」。素晴らしい肖像なのに、描いた当時は
あまり理解されずに注文主は不満だったというのがちょっと意外です。
ちなみに、このイレーヌ嬢は90歳くらいまで生きたのですが、その後、
激動の人生が待っていたようです。そうした事を考えながら観ると、
より思い入れが増す作品かもしれません。間違いなく傑作でした。

第六章  ポール ・ セザンヌ
こちらの章は、近代絵画の父とも呼ばれるセザンヌの作品だけ6点
を集めた内容となっていました。そして、近代美術の金字塔ともいえ
る 「赤いチョッキの少年」 は、絵画を見ることの喜びのすべてを、
私たちに与えてくれます。

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ポール ・ セザンヌ 「パレットを持つ自画像」 1890年頃 (左)
画家としての自負にあふれたポーズで、パレットと絵筆を手にして
カンヴァスに向かうセザンヌ自らの姿を捉えた自画像です。その堂々
とした体躯は、簡素で無骨な仕事着に包まれています。画家の姿だ
けを簡素に素直に描きだした自画像は、社会から超絶し、孤独に制
作に励んだセザンヌの生き方そのものを反映しているように思えた。
セザンヌは生涯に、およそ25点の自画像を制作したが、初期の自画
像を除いて、画家として職業や設えもそこに加えることはなかった。

ポール ・ セザンヌ 「庭師ヴァリエ (老庭師)」 1904-06年 (右)
晩年に特有の瑞々しく軽やかなタッチで描かれた、この絵は未完成
ゆえ制作過程が生々しく残る感じです。「庭師ヴァリエ」 の置かれた
色が全て透明感のある暗い色と、マットな印象の明るい色が並べら
れ、プロヴァンスの陽光を一身に浴びているかのようです。頑固な
老画家と、辛抱強い老庭師がどう向き合っていたのかを考えるだけ
で何故か涙がでます。身の回りの世話もしていた庭師ヴァリエは、
最後のモデルでもありました。 日本初公開

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ポール ・ セザンヌ 「赤いチョッキの少年」 1888-90年
セザンヌの肖像画のなかでも、もっとも有名な作品で、盗難事件に
もあった 「赤いチョッキの少年」。「イレーヌ嬢」 とともに、チラシの
もう一つの表紙を飾っています。こちらも展示のキー ・ ビジュアル
になっていて絵の前は人が集まっていました。

肘をつき、物思いにふける少年。頭を支える腕の直線や、背中や
手前に長く引き伸ばされた腕の曲線が、カーテンやテーブルクロ
スの斜めの線と絶妙な均衡を保っています。全体的に暗めの青
系統でまとめられ、よく見ると両腕の長さが全然違うのです。でも、
ぱっと見た感じは特に違和感を感じず、絶妙のバランス感を保っ
ているという感じがします。セザンヌならではの不思議な空間描
写能力が冴え渡った作品。少年のつぶらな瞳も素朴な感じで素
晴らしいです。絵はモチーフを上手く再現するだけではなくて構
成も大事な要素なんだなぁ。知れば知るほど深いです。

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館内の照明に温もりや優しさが感じられ、夜ならではの落ちつい
た雰囲気の中での美術鑑賞は贅沢なひとときです。この照明に
よって昼間とはまた違った表情を見せる美術館。昼の混雑を避
けて金曜日の夜間観賞の方がいいかなと思いました。本当の美
術ファンが好む時間帯ではないでしょうか。でも一つだけ気にな
ることが・・・。静まり返る室内で、女性のハイヒールのカツカツと
いう音が気になりました。本人は気付かずの感じで、あちこち移
動するたびに音がして、鑑賞していた年配の方も気になるらしく、
係りの人にスリッパに履き替えさせてと注文してました。(笑)
いつも思うのですが、どうにかならないのでしょうかね。

第七章  フィンセント ・ ファン ・ ゴッホ
セザンヌと並ぶポスト印象派の代表的画家ゴッホの作品6点集めた
コーナーでした。出品作はこの画家の様式の変遷をたどるのに十分
な多様性を見せていますが、それが僅か6年の間に描かれたものと
知るとき、驚きと戸惑いが私たちを襲います。変化がよくわかる構成。

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「花咲くマロニエの枝」 1890年 (左)
ゴッホの最晩年の作品の一つ。まるで木版の削り跡のような細長い
筆致でマロニエを描いた作品です。青い背景に白い花や緑の葉が
映えるのですが、意外と色合いは柔らかめに感じるかなと思います。
うねるようなタッチが特徴のゴッホ作風ですが、絵の具の盛り上がり
はしっかりとあるものの、不思議と画面に光沢はなく素焼きの陶器
のような感じです。力強さとちょっと不安になる雰囲気がありました。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「日没を背に種まく人」 1888年 (右)
ゴッホ 「日没を背に種まく人」 などは、美術の教科書や学校の図工室
にポスターが貼ってあったりして、見たことがある人もいると思います。
ミレーの種まく人と同じポーズの人が描かれ、鮮やかながらも趣のある
太陽が印象的な作品です。夕日を背にして種まく人や、画面中央に位
置する大きな木は、逆光で黒っぽく描かれ、色彩の対比は強烈。画面
の上下を断ち切り、樹木と対比させることで、鑑賞者の視線を人物に
引き付けています。 構図には、明らかに浮世絵の影響がありますね。

第八章  20世紀初頭のフランス絵画
ロートレックの洗練されたデザイン感覚、若き日のピカソ、ゴーギャンと、
ナビ派・・・・。造形的な探求に飽き足らず、人間の内面に迫ろうとする
画家たちも登場し、20世紀絵画のもう一つの方向性を示します。

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ポール ・ ゴーギャン 「贈りもの」 1902年 (左)   日本初公開
西洋の文明社会から逃れ、タヒチでの生活を始めて以降、ゴーギャン
は現地の人々を鮮やかな色彩と平面的な構図の中に描き出しました。
左の女性が花を手に持ち、隣の赤子を抱いた女性に差し出そうとする
儀式的な場面。物静かで穏やかな物腰、生まれたばかりの乳児が母
親の腕の中に身を委ねる姿勢からは、楽園の雰囲気が醸し出されて
いる。色面と輪郭線を使った画風が力強い生命感を感じさせました。

アンリ・ド ・ トゥールーズ = ロートレック 「コンフェッティ」 1894年 (右)

イギリスの製紙会社のために制作されたポスターの習作です。コン
フェッティとは、カーニバルの時に使用される紙吹雪を意味します。
1890年代、ロートレックは、役者や踊り子、そして歌手をモデルに
多数のポスターを制作しました。楽しげな表情を浮かべる女性は、
画家が長年描き続けていた女優のようです。  日本初公開

第九章  モダン ・ アート
フォーヴィスムやキュビスムなど、その後の絵画の急激な変貌を予
兆するモダン ・ アートの一群の作家たち。新しい表現方法が誕生
した頃の作品群です。謎めいた作品の数々にお手上げです。(笑)

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ジョルジュ ・ ブラック 「ヴァイオリニスト」 1912年  (左)
これは円錐を逆にしたような背景に、ヴァイオリンを分解したようなも
のが描かれた作品です。割とごちゃごちゃしていて、焦げ茶の画面
に黒い輪郭を使って表現しています。非常に実験的な雰囲気があり、
キュビスムの発明の様子が伺えましたが、どう表現していいの分かり
かねます。(笑) 形体をバラし過ぎて、一見ではよくわからなくなって
います。でも音楽も聞こえてきそうで、吸い込まれそうでした。

パブロ ・ ピカソ 「花とレモンのある静物」 1941年 (右)
説明によると、ナチスドイツにいるパリ占領期に描かれた作品で、戦
争の暗い影を落としているとのこと。その点は、今一つピンと来ない
のですが、太く黒い線、角ばったフォルム、レモンの黄色の他の色と
の対比など、見ていてインパクトはとても強かったです。画面を分割
する黒い線は、占領下の不安や苦悩を感じました。 キュビズムの作
品は、お兄さん苦手で説明しようがありません。 日本初公開

第十章  新たなる絵画の地平
最後の部屋にモネの代表作の一つである 「睡蓮の池、緑の反映」 が
展示されています。この作品1点のみでこれまでスイス国外には一度
も出たことのなかった門外不出といわれたモネの最高傑作です。

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日本人がまだ見たことのないモネの 「睡蓮の池、緑の反映」 でござ
います。(上)  展示の最終室にはモネの巨大な絵が展示されてい
るのですが、嬉しいことにこの作品に限り写真撮影が可能となって
いました。(下左) 非常に大きいサイズです。どれだけ大きいか、
人物を入れて撮影してみました。(下右)  日本初公開

クロード ・ モネ 「睡蓮の池、緑の反映」 1920-26年頃
200点以上もの睡蓮の池を描いたモネの 「睡蓮の池、緑の反映」 は、
高さ2メートル、幅4メートルほどもある大作。あえて池全体ではなくて
一部分だけを切り取って描くことで、空間の広がりを想起させる・・・・。
池の想像を鑑賞者に委ねる、大胆でハイセンスな絵だと思いました。
これは元々、部屋を埋め尽くす壁画の1枚として制作されたが、時代
を先取りしたその狙いが理解されず、買い手が付かないままモネ没
後のアトリエに残されていました。しかし、後にビュールレはそれらの
価値に気づき購入します。結果的にその数年後にこの作品は世間
に認められるようになり、そのことがビュールレ自身の評価にも繋が
りました。幸いなことに会場が意外なほど空いていたので、うんと贅
沢に好きなだけ行ったり、来たり立ち止まったり、たっぷり堪能でき
シアワセ。これを自邸に飾れるなんて贅沢すぎるよビュールレさん。

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「盗難にあった4点も勢揃い」
2008年に、強盗団によってビュールレ美術館から4点の絵画が盗
まれ世界的なニュースになりました。 盗難にあったのは、ゴッホの
「花咲くマロニエの枝」、(上左) セザンヌの 「赤いチョッキの少年」
(上右) のほか、ドガの 「リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち」
(下左) モネの 「ヴェトゥイユ近郊のケシ畑」 (下右) の4点です。
ゴッホとモネは同月中に、ドガとセザンヌは2012年までに無事回収
されました。この盗難事件以降、一般公開は規制されましたが、本展
にはこれら4点が全て展示されていました。盗難にあった4枚の絵画
は、いずれも100億円前後の値がつきそうな作品ばかりです。揃って
見られるのは、きっと日本では最後の機会かも知れませんね。

プライベート美術館では、絵画を守るための十分なセキュリティ設備
を確保できません。この状況を打開するため、財団は、2020年まで
にそのコレクションを一括してチューリヒ美術館に移管することを決定
したのです。「うん、それなら良かったよね・・・。一件落着」 という話に
なるのですが、一旦チューリヒ美術館に移管・収蔵された後は、それ
以降、ビュールレ・コレクションの珠玉の作品群を海外へ搬送するの
が難しくなりそうだからです。つまり、日本でビュールレの集めた印象
派の傑作群を 「展覧会」 と言うかたちで気軽に楽しめるのは、恐らく
今回の展覧会がラストチャンスになる可能性が濃厚だということなん
ですね。だから、絶対に見逃せない展覧会だったんです。

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世界屈指の絵画収集家エミール ・ ゲオルク ・ ビュールレが集めた
「ビュールレ ・ コレクション」。一般的な展覧会と比べてそれほど出
品点数が多いとは言えませんが、全く不足感は感じませんでした。
やはり今回来日したのは、コレクション自体が印象派、ポスト印象
派を中心としたまとまりがあり、とても観やすかったというのが大き
かったと思います。

美術館に行って生で絵を見ると、筆のタッチや絵の具の厚みや艶
感、迫力は生で見ないとなかなか伝わらないかもしれません。それと
絵に出会った瞬間の興奮を感じることだと思います。何より絵に出会
った瞬間の興奮!! 展示部屋に入る前の瞬間や、次はどんな絵が
あるんだろう、見たことのある絵かな? と、想像してワクワクしている
瞬間も楽しいんです 。そして個人的に好きなのが、展示部屋の真ん
中辺りに立って部屋一面を見渡すことです。これは好きな絵に囲まれ
ているという実感を得ることができるんです。 生で見ることで、感動も
興奮も倍増するんですね。そんな感じで 「ビュール レ ・ コレクション」、
見終わって来ました。いい日になりましたよ。心が浄化されました~。

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今回の展示は有名画家の絵で、それぞれが影響し合っていること
や写実主義~印象主義~ポスト印象主義~フォービスム~キュビ
スムと西洋絵画の流れもわかりやすかったです。出展作品の約半
数が日本初公開のため、絵画に詳しい方でも満足出来る内容では
ないでしょうか。東京・国立新美術館での開催の後、福岡・九州国
立博物館、名古屋・名古屋市美術館を巡回の予定。個人が集めた
圧巻の印象派コレクションまとめて日本で見られる最後のチャンス、
優品の数々を、是非堪能してみてください。私も見応えありすぎて、
感動しすぎて、まだ消化しきれていないので、期間中にもう一度訪
れて、記憶と感動をしっかり定着させたいと思っています。





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