一ヶ月に2回満月を迎える月を「ブルームーン」という。 そのブルームーンを見ると願い事が叶う・・・・。





いつも訪問して頂きありがとうございます。



「自分に投資する」

...2016/12/04 12:30...

12月 (師走)
ついに来てしまいましたね、残りのカレンダーが1 枚の月。
この時季になると毎年 「もう12月? 1 年経つのが早いなぁ~」
と、しみじみ思いながらぼやいてみても仕方のないことです。
大イチョウやもみじの彩りを楽しむ矢先、東京では11月の
降雪が54年振りにあったようで、地球の温暖化は? 
などと疑問が生まれる等、季節の大きな変動と人々の
心の動きがめまぐるしいうちに、12月に入りました。

EE19108.jpg 
EE19120.jpg EE19119.jpg
丸の内で食事をした後、JR東京駅前の 「KITTE (キッテ)
(下右) に立ち寄ったら、1 階アトリウムに巨大なホワイトツ
リーが設置されていました。まるで雪が降り積もったかのよう
に真っ白な、屋内では日本最大級となる高さ約14mのクリ
スマスツリーという。ツリーの下には透明ガラススクリーンを
使ったオリジナルの映像 (雪だるまが登場し歌を唄ってま
した。) を上映していました。(下左) 白くきらめくツリーを
眺めれば、25日までクリスマス気分が一気に高まる感じ。

EE19114.jpg EE19118.jpg
EE19117.jpg EE19116.jpg
期間中は、情緒あふれる音楽とともに光の粒が天井から壁
面を伝って、雪が舞い散るように降り注ぐライトアッププログ
ラムを上映します。真っ白な雪をかぶったシンプルなツリー
がとっても素敵! 本当に雪が降ってるみたいで、心にスー
ッと入り込んできます。吹き抜け空間に設置されているので
各フロアから鑑賞できます。もうクリスマスの雰囲気です。

今年もいよいよ最後の月。
一ケ月後には新年と考えるとのんびり屋の私でさえ、年の瀬
の慌ただしさを感じております。また月も極まり冬 (陰気の季
節) ということから窮陰 (きゅういん) という呼び名もあります。
陰気がきわまれば、陽気に転ずるもの。

あわただしい中にも、その先にある新しい年、新しい四季循環
の始まりを予感して、ウキウキとした気分になる月でもあります。
このウキウキした気持ちを糧に、さあ一年最後のあわただしい
月を乗り切って行きたいと思います。すでにインフルエンザの
流行も始まっているようですし、皆さまも忙しい日々で体調を
崩さないように気をつけてください。


---------------------------------------------------------------------------------------------------------

「自分に投資する」

旅行でもそうですが、機中で長時間過ごすのは閉口する。
通路を行ったり来たりする人、だんまり眠り込む人、
本を読む人、色々な人がいます。サンタクララへ出張の折り、
機中で上司と話し込んでいるうちにこんな話を伺った。
取り組みたい分野があれば、「1万時間」 をつぎ込むことだよ・・・と。

1万時間は日本の大学院で博士号を取得する時間にあたります。
土日を除いて毎日8 時間勉強すると年間2000 時間になり、
5年間で1万時間になる。「大学院なんて無理だなぁ」 と苦笑いした。

大学院で学ばなくても学問の世界に限らず、大工でもラーメン屋でも、
毎日、その道のことに励み、1万時間を費やすると、ひとかどの専門家
になれるというのだ。そして1万時間を費やすると、それに関連して人脈
が生まれるのだという。相通じる部分があるため、お互いに培ってきた
「知識」 や 「技術」 を交換できるのだろう。

今の時代は、やりたいことを見つけること自体が難しい。
焦っている人はたくさんいる。「そんなの分かってたら苦労しないよ」 と
いう人も多いに違いない。でも、やりたいことかどうか、分からなくても
何もしないで身をかがめてるより、思いきった方がいいとも話された。
やってみないと分からない部分は確かにある。
ハスに構えず、本気でつっこめば、自分が本当はこれがやりたかった
んだということが見えてくるんだと思います。一生懸命やったからこそ
好きになるパターンもあるはずです。

やりたい仕事を1万時間頑張るのがベストでも、本当に苦労している
人や望まぬ派遣の仕事しかなく、身も心もすり減らしている人もいるで
しょう。しかし、何とかして自分をよみがえらせるためにも 「自分に投資
するんだよ」 と上司は話された。食べるために嫌なことをせざるを得ない
としても、「この時間だけは将来のためにやりたいことをやる」 と決めて
行動する。ずるずると消耗していくばかりでは何かが生まれることは
永久にない。そして、それは若いうちしかできないのだからと話された。

技術や資格、語学何でも自分の将来のために少しでもお金はその方に
回すべだという。いくら美味しいものを食べても自信の身にならないという。
そう言って 「妊娠5ヶ月だよ、ほら!」 と大きなおなかをさすって大笑いし
ていた。確かに 「美味しいものや欲しいものにはお金は惜しまなく使いたく
なる」 時がある。なるほど 「考え直さないといけないかもしれになぁ」 と思う。

 少年老い易く~、学成り難し~。
       一寸の光陰、軽んずべからず~

若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、
すぐに年月が過ぎて年をとり、何も学べないで終わってしまうものだ。
だから若くて物覚えのいいときに、時間を無駄にせず、勉強しなければ
いけないのだろう。年をとってから悔いても後の祭りである。
話し込んでいるうちに、機内では 「まもなく着陸態勢に入りますので、
シートベルトの着用を・・・」 と、促すアナウンスが流れていました。
「自分に投資する」 上司の言葉が心にしみた。


---------------------------------------------------------------------------------------------------------

~太平洋を渡ったヨーロッパの名画たち~
「デトロイト美術館展 2016」 上野の森美術館

EE19038.jpg
巨大ゴッホのタイトル壁がやたらに目に付く上野公園のもう一つの
美術展 「デトロイト美術館展」 を鑑賞してきました。さぞや大混雑
するだろうとの予想に反して、ゆったりと鑑賞が出来ました。と、言
っても 「ゴッホとゴーギャン展 (東京都美術館)」 を鑑賞した後な
ので終了ぎりぎりだったので空いてたのかも知れません。今回の
注目は、もちろんゴッホの 「自画像」、ルノワール 「座る浴女」 です。

EE19069.jpg 
EE19066.jpg EE19036.jpg
「上野の森美術館」
上野恩賜公園にある私立美術館で、明治12年 (1879) に日本で
最初に設立された美術団体、日本美術協会により運営され、リニ
ューアルを経て昭和47年 (1972) に上野の森美術館として開館
しました。常設展示は行っておりませんが、美術・書道団体の展示
のほか、国内外の作家の回顧展をはじめ様々なジャンルの美術を
紹介する企画展を行っています。定期的に独創的な企画展を開催
し話題を提供しています。 ここは 「ツタンカーメン展 」 以来です。

EE19047.jpg 
EE19049.jpg EE19065.jpg
終了時間まじかとはいえ窓口は多少の行列でした。(下左) 「ゴッ
ホとゴーギャン展 (東京都美術館)」 (下右) の半券を窓口で提示
すると割引になるようで、ならばと提示したらチケットの裏に刻印を
押して百円引きでした。知らなかったのでちょと得した気分。うふっ

車の町として知られるデトロイトのもうひとつの 「顔」 とも言えるの
が、デトロイト美術館です。 米国で最初にゴッホとマティスの作品
を購入した美術館としても知られています。古代エジプトから現代
まで世界各国、各地域の美術を幅広く集め、そのコレクションから、
モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソ等の名作52
点を展示し、その内15点は日本初公開です。まさに近代ヨーロッ
パ絵画の 「顔」 ともいうべき巨匠たちの名画が一挙来日です。 

EE19079.jpg
デトロイト美術館は2013年にデトロイト市の財政破綻を機に、存続
の危機に陥りました。市の深刻な財政難により、財源の確保を目的
として所蔵する美術品を売却するか否か議論となりましたが、国内
外の資金援助やデトロイト市民の声により、コレクションは1点たりと
も失われることが無かったのは有名な話です。 それだけデトロイト
美術館は素晴らしいコレクションを所蔵しているのです。

「デトロイト美術館展」 ~太平洋を渡ったヨーロッパの名画たち~
会期     :  2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)
開館時間  :  9 時30分~16 時30分 (金曜日は20時まで)
場所     :  上野の森美術館
入場料    :  一般1,600円 大高生1,200円 中小生600円

第 一 章  「印象派」 
印象派を代表する、モネ、ドガ、ルノワールらの作品を紹介。
「印象派」 は戸外での作品を重視し、黒色や褐色を避けた鮮やかで
明るい配色によって、産業化や工業化により変貌を遂げていくパリの
街並み、競馬やバレエ、カフェなど市民の日常生活の一場面が描か
れました。印象派に影響を与えたクールベの作品や、当時の画壇で
大成功をおさめていたデュラン、ジェルヴェクスの絵画もあわせて
展示しています。

会場入ってすぐ、展示の最初はルノワールの 「白い服の道化師」 等
3 作品が展示してありました。、当然、人だかりができ混雑していまし
たが、しばらくするとほぼひとりかふたりで、1 枚の絵をゆったりと観る
ことができました。なんて贅沢! 混雑を予想したので嬉しい誤算。
でも、少しして振り返ったら、少しずつ混みだしていました。

EE18199.jpg EE18200.jpg
ピエール・オーギュスト・ルノワール 
「白い服の道化師」 1901~02年  (左)
最初に目に入る作品が、明るく微笑みに満ちた子どもの肖像画。
ルノワールには、ピエール、ジャン、クロードの3人の息子がおり、今
年の 「ルノワール展」 ではクロードの道化師の肖像画が展示されて
いましたが、こちらは次男で後にフランスを代表する映画監督になる
7歳の頃のジャンを描いたものです。ルノワール特有の美しい肌の質
感という印象は変わらないけど、この絵に驚いたのは服の質感の透
明感。透けるような質感を感じられました。ルノワールは息子たちを
モデルに心温まる作品を多く残しています。

ルノワール 「肘掛け椅子の女性」 1874年 (右)
肘掛け椅子の背もたれにゆったりと身体をあずけてやさしく微笑む若
い女性。降り注ぐ光、そして白く輝く肌に見とれましたが、影の部分が
青みがかっているので、透き通るような美しさでした。女性を明るい色
彩と素早い筆致で描いた印象派らしい肖像画です。描かれた女性の、
若さゆえのこの勝気そうな目は何を見ているんでしょうか。 この目の
表情がとってもいい。 ルノワールが描く女性でこんなにも自己主張し
ている表情って珍しいですね。 パリで第1回印象派展が開かれた
1874年の作品です。

      EE18201.jpg
        ルノワール 「座る浴女」 1903~1906年
ルノワールが生涯描き続けた裸婦画の代表作の一つ、晩年の作品。
女性の豊満な肉体、血色のよい穏やかな表情、柔らかな布の質感に
いたるまで、その全てから多幸感が滲み出している感じです。 よくみ
ると女性のヌードの肌なのに、緑、青など普通に思いつかないような
色彩が導入され、かつ結果としてとても生き生きと輝いた肌を丁寧な
筆致で見事に表現されています。初期の作品である 「肘掛け椅子の
女性」 の方が肌の描かれ方やタッチが細かかったです。 肌の色に
緑色っぽい色も使われているんですね。晩年の 「座る浴女」 の方が、
なでるように描かれた感じがありました。でもどちらの作品も変わらず
ルノワールの透通る色合いが出ている! やっぱりルノワールだなと、
心に響きました。 ルノワールは晩年、リウマチを患って悪化して痛む
不自由な身体で、あたたかみのある色彩を使って描き続けたといい
ます。絵を見ていると、画家の穏やかな人柄が伝わってくるようです。

EE18191.jpg 
EE18187.jpg EE18186.jpg
エドガー ・ ドガ  「楽屋の踊り子たち」  1879年 (上)
バレエを題材とした作品を多く残しているドガは、華やかな舞台本番
ではなく練習風景など飾り気のない場面を好んで描きました。 作品
の右側にギュッと描かれる対象が寄っていて、左側に空白がみられ
る構図が浮世絵の影響だそうです。 肉眼で見ると画面はかなり暗く、
衣装と窓の白が一層引き立つ絵でした。画面中央の女の子は、大事
な商売道具のコントラバスに無造作に足をかけて靴紐を結んでいます。
「生活のためにあたしは踊ってるんだよ!」 と、ドガの凄い観察力です。

エドガー ・ ドガ  「バイオリニストと若い女性」  1871年頃 (下左)
背景の大半が無地に描かれ、全体的にグレーに覆われた画面で、
バイオリニストが着るジャケットの赤が目を引きます。描写を最小限に
とどめ、スナップ写真のような表現という感じ。 二人の横にさりげなく
座って、彼らの会話をこそっと聞きたいような、物語の途中のような・・・
捨てがたい作品でした。

アンリ ・ ジェルヴェクス  「パリのカフェにて」 1877年 (下右)
光や色彩に大きな特徴はないですが、描かれた人物たちの心理までも
表現しようとするところに、当時としては画期的なものがあったのだろう
と思います。それぞれの人物が何を考えているのか、見ていていろいろ
想像してしまいました。 中央で煙草に火をつけている男性が画家本人
だとか。右端の未完成部分が気になってたんですが、ここで切るつもり
だったみたいですね。

EE18196.jpg
クロード ・ モネ 「グラジオラス」 1876年頃 
自然の光の中で移ろう印象を表現することにこだわり続けた 「光の
画家」 として知られるモネらしい作品です。色彩鮮やかな花々が咲
き乱れる庭園で、赤やピンクの背の高いグラジオラスが中心に蝶々
が花の周りに舞い飛んでいます。白い襟に縞模様の青いドレスをま
とい、日傘を差して立つ女性はモネの妻カミーユです。太陽の光が
降り注ぎ、花や葉に反射する瞬間や、強い日差しに揺れ動く空気の
効果が生き生きと描かれています。

近くで見るとモネの妻カミーユの顔はぼやけて目鼻立ちをはっきりと
描かれていませんが、離れてみると、鮮やかなグラジオラスと光の中
を歩くカミーユがきれいに見えます。 屋外で陽の光の元で描いた
モネの風景から、モネの 「眼で見た」 景色を追体験できました。
今回、出品されている唯一のモネの作品。

EE18195.jpg EE18193.jpg 
ギュスターヴ ・ クールベ  「川辺でまどろむ浴女」 1845年 (左)
フランスの写実主義の画家クールベの初期の作品。現実に存在する
ようなリアルさで描かれた無防備な女性の姿態は、神話や聖書を題
材とし女神やニンフの裸婦画が主流だった当時の人々を驚かせたと
いいます。当時の衣服を描くことで現実社会との接点を示しています。
泉に足を浸して、寝ているような安らかな顔に、ふくよかで健康的な肉
体は、いつまでも見ていたくなるような、非常に引き付けられる魅力が
ありました。初来日の作品です。

カミーユ ・ ピサロ 「小道」  1889年頃 (右)
今回1 枚だけのピサロ。「小道」 と題された点描画法で、道ばたで話し
込む農家のご婦人二人という村の風景画です。 この作品は、実際に
観ると思っていた以上に 「点描」 でした。例えば木の枝は紫色と橙色
で点が打たれていました。それが合わさり木の色が作られている感じ
です。実際にこの目で観ると、こういう発見があるから絵画は面白い
なと思います。個人的に好きな画家です。

EE19044.jpg
どこかのテレビ局が 「100億円のゴッホの自画像を写真に撮れる」
と宣伝していましたが、デトロイト美術館では、来館者の写真撮影
が許可されているようです。今回の展示会でも特に月曜日と火曜
日は写真撮影ができるそうです。いくつかの作品はSNSやブログ
への写真掲載は禁止というルールがあって、それは作品の説明の
下のところに表示されていました。月、火曜日の平日は我々サラリ
ーマンは無理なので写真など撮れません。海外から借り受けた作
品の撮影が許可されるのは極めて珍しく、今後、来場者の鑑賞方
法が変わっていく可能性がありそうですね。

第 二 章  「ポスト印象派」
印象派が一瞬の形態を画面上にとどめようとしたのに対し、ポスト印
象派は、より普遍的なものを表現しようとしました。例えば、セザンヌ
は、画家は自然に敬意を払いながらも単純に従うのではなく、それを
素材として扱うべきであると考えました。この章ではゴッホ、ゴーギャン、
セザンヌの他に創作活動をした 「ナビ派」 のモーリス・ドニやピエール
・ボナールの作品も楽しめました。

EE18211.jpg EE18212.jpg
ウジェーヌ・アンリ・ポール・ゴーギャン 「自画像」 1893年頃 (左)
ゴッホの自殺のあとゴーギャンは一時、タヒチからフランスに帰国し
ます。 このころゴーギャンは、作品も世間に受け入れられず、また
妻との関係も悪化したりして、ストレスの多い憂鬱な時期であったよ
うです。このころに描いたのがこの自画像で、あごに手をやり眉にし
わを寄せて何か物言いたげです。 「ゴッホとゴーギャン展」 で見た
自信なさげな自画像と違い、この作品は自信があるように見えまし
たが、解説には、「周囲の無理解を反映してか、その表情には心な
しか不安や疲労も見出せるように思える」 と記してあり、少し印象が
異なりました。実は背景にドラクロワの素描が描かれています。
そういうちょっとした発見があると面白いですね。

ポール・セザンヌ  「サント ・ ヴィクトワール山」 1904~06年 (右)
セザンヌにとって風景画は生涯にわたる重要なテーマの一つで、
なかでも故郷にそびえるサント・ヴィクトワール山を主題にした風景は、
繰り返し描かれたことで知られています。明るい青や鮮やかな緑、灰
色を帯びた黄緑、ピンクなどで描かれ、空や岩肌だけでなく、画面の
ほぼ半分を覆う針葉樹の枝先までもが溶けあい、また振動するように
描かれています。この作品は実際観るとまさに 「平面的」 です。セザ
ンヌは感性や感覚で作品を描くのではなく、きちんと計算して構図を
決めて描いたそうです。それがよく感じ取れる作品です。

     EE18208.jpg
      フィンセント・ファン・ゴッホ 「自画像」 1887年
ゴッホの 「自画像」 と言えば、耳に包帯が巻かれている痛々しいもの
を思い浮かべます。暗い色調で貧しい人々の生活などを描いてたゴ
ッホは、パリに出てからは明るい色彩で自由なタッチに変わり、特に
この作品を描いた1887年に多くの自画像を描きました。南仏アルル
での耳切り事件により精神を病む以前の絵と知ると、より一層その明
るさが際立ちます。青いスモックには指で描いた跡があり、大胆なゴッ
ホの作風がうかがえます。ゴッホが自殺をして亡くなったのが1890年
ですから、死の3年前の作品です。 その価値100億円とも言われる
ゴッホ34歳の自画像です。

じっと見つめると、まるで毛むくじゃらの猿のような顔面の皮膚の描写
と、目の周辺の異常なまでの精密な描写に惹きこまれます。ゴッホは、
この絵を描きつつ必死に自分を絵のなかに投入しようとしていたので
しょうか。ゴッホの意志の強さを感じ、どの位置で見ても見られている
ような感じに思えました。今回の展覧会の目玉作品です。意外と小さ
い作品で、「え!? ちっちゃ!」 と言ってる人もいました。
展覧会の会場内で一番混雑する箇所でした。

EE18203.jpg
ゴッホ  「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」 1890年 
同じ部屋に飾ってあったのは、亡くなる直前に描いた日本初公開
というゴッホの作品。ゴッホらしい躍動的な筆使いが印象的です。
絵の具が盛りあがって、ウネウネとした線が荒く激しいタッチなの
に人物の描写がとても細やかで、川面のゆらめきも感じます。楽し
い舟遊びの情景、明るく美しい色彩なのに・・・画家の情熱は感じ
るけれど、楽しさは伝わってこない不思議さを感じます。自殺の直
前に描かれたせいなのか、明るいタッチで目力が感じられる自画
像とは対象的になっていました。

今まで見たゴッホの作品の中で、一番の太い線で描かれた粗い
タッチの作品でした。ベタっ、ベタっという感じの重いタッチですね。
力強いタッチで描かれたボートと人物、そして木の葉のとげとげし
い描写と寒色の多い色彩が観る者の不安をあおる感じがしました。
ゴッホは、この絵を描いた年の7月27日にピストル自殺を試み、
37歳の生涯を終えました。いつもゴッホの絵を見るたび、「ゴッホ
は幸せだったのかな」 と深く考えさせられてしまいます。

EE19033.jpg
今回の展覧会は、所蔵品の中から、印象派、ポスト印象派、20世
紀のフランス&ドイツの作品が来日したのでした。モネ、ドガ、ルノワ
ール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカ
ソなど超有名どころの画家達の作品揃いです。作品数は52点で、
何となく少ないと感じましたが、それでもこれだけのヨーロッパの名
画を一気に鑑賞出来たのですから、満足度は非常に高いです。

第 三 章  「20世紀のドイツ絵画」
さまざまな芸術家と交友があったドイツ人館長の時代に多くの作品を
収集し、とりわけ充実したドイツ絵画をご紹介。ドイツ表現主義の作品
郡は、ナチスによって 「頽廃芸術」 と烙印を押され、多くが破壊されて
しまったようです。 このような不幸な事件は、たとえばキルヒナーを自
殺に追いやるなどマイナス面が多々あった反面で、ドイツ表現主義の
芸術運動を強く印象づけ、以後の芸術の前衛となる機会ともなったと
されている。日本ではなかなかお目にかかれないドイツ人画家の作品。

EE18236.jpg EE18228.jpg
ワシリー・カンディンスキー 「白いフォルムのある習作」 1913年 (左)
テーマや形などに頼らず、線と色彩だけでカンヴァスに完全に描こう
としたカンデインスキーは抽象絵画の父と呼ばれています。右上には
ロシア正教の教会が描かれ、右下半分近くは青騎士をいささか抽象
的に描いているそうですが、確かにかろうじて何か具象物を描いて
いるような気もします。色彩と曲線を主にした形には不思議な魅力
があって、眺めていて飽きませんでした。不思議と気に入りました。

エミール ・ ノルデ   「ヒマワリ」 1932年 (右)  日本公開
ひまわりと言えばゴッホ。この作品はそのオマージュだそうですが、
ゴッホの絵とは対照的に背景の色も暗めで、枯れかかったヒマワリ
なので退廃的な感じを受けます。作品のサイズは割りと大きめだっ
たので、花の真ん中にある黒い種の集まりが、私の体を引き込ん
でいくような、すごい迫力を感じました。それにしてもゴッホの描く
明るいヒマワリとは対照的ですね。

EE18230.jpg
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー 「月下の冬景色」 1919年
ドイツ表現主義の代表的画家の一人、キルヒナーの作品。
冬の山麓の景観を赤色の空、ピンク色に怪しく光る木々と水色で
覆われた険しい雪山、さらにオレンジ色の雲は非現実的な一種の
夢の世界のようです。 しかしその反面、なにか澄みきった清澄な
雰囲気すら感じさせる不思議な魅力をもった作品でした。
夜なのに月も空も樹木も真っ赤という絵にもびっくりします。

キルヒナーは、ナチス・ドイツにより 「退廃芸術」 の筆頭として非難
されたことにショックを受けてしまい、深刻な鬱状態になった彼は
自宅でピストル自殺を遂げ、58歳の生涯にピリオドを打ちました。
「月下の冬景色」 は、強い不眠症に悩みながらもアトリエの窓から
目にする風景が描かれた作品のようです。エピソードを思いながら
鑑賞すると、何か心に響いてくる感じです。

EE18232.jpg EE18233.jpg
パウラ・モーダーゾーン=ベッカー 「年老いた農婦」 1905年頃 (左)
作者はドイツ表現主義を先駆けた女流画家で、31歳の若さでこの
世を去ったベッカー。窓際に腰かけて長年の労働で、しわを深く重
ねた両手が日々の厳しい労働を連想させます。背景は壁と空とで
二分され、下半分は暗い緑色で農婦の過去の苦労の多い暗い生
活を象徴。上半分は明るく、この老いた農婦の余生の希望を象徴
していると説明にありました。そうであるとすると、その膝の上に置
かれた小さな花がいっそう尊くも見えてきました。幻想的な光の背
景と、輪郭線で老婦は画面から浮かび上がるような存在感でした。

マックス・ベックマン 「オリーヴ色と茶色の自画像」 1945年 (右)
口を文字通り 「への字」 に結んでこちらを見つめる厳しい目つきには、
暗澹とした気持ちや批判が現れているような気がします。 黒く太い力
強い輪郭線から意志の強さを感じます。 ベックマンも 「退廃芸術家」
の烙印を押され、ナチスの手を逃れるためにドイツからオランダに亡
命しています。 キルヒナーと共に、ナチスによってことごとく糾弾され、
やがて制作さえも窮地に追い込まれていったという負の共通点があ
りました。もし、今の平和な世の中だったならば、彼らのようなアーテ
ィストはどういった作品を作っているのだろうかと、そのヒリヒリとする
ような凄みのある作品を見るたびに思いを巡らしてしまいます。

EE19061.jpg
メトロポリタン美術館展やボストン美術館展といったアメリカを代表
する大美術館の展覧会は、毎年のように開催されていますがデト
ロイト美術館展を観た記憶はありません。しかし、アメリカにある美
術館の5本の指に入る屈指のコレクションを誇るのがデトロイト美
術館なのです。デトロイト美術館が置かれてる状況を鑑みると他
の展覧会とは明らかに一線を画します。 こうして日本での展覧会
も開催可能になったことは嬉しいことです。とにかく来ている作品
が全て素晴らしいものばかりです。名ばかりの 「○○美術館展」
とは大違い。観に行って絶対に損のない内容でした。

第 四 章  「20世紀のフランス絵画」
マティスの傑作 《窓》、独特のスタイルで描かれたモディリアーニの
男女の肖像画、初期作品アルルカン、キュビズム、古典主義、表現
主義ほかさまざまな時代のピカソ作品6点など、20世紀のフランス
絵画で展覧会を締めくくります。

展覧会の最後の締めはピカソ。出口手前の壁面一面はピカソの作品
6点がずらり。 「読書する女」、 「肘掛け椅子の女性」 が印象的でした。
特に 「肘掛け椅子の女性」 は、ピカソの作品とわかるタッチなのですが、
あまり今まで見たことのないテイストなので、印象的でした。ピカソの作
品は著作権等の関係で、残念ながらSNSやブログでの不特定多数へ
の公開はできないようですので、是非会場でお楽しみください。

EE18238.jpg EE18239.jpg
アメデオ・モディリアーニ  「女の肖像」 1917~1920年 (左)
モディリアーニの絵は独特の引き伸ばされた楕円形の顔と、長い
首、額に垂れるカールした髪の房、アーモンド型の瞳、顔はわず
かに傾き、もの憂いな表情を描いています。当時の恋人であった
女性を描いた作品で、彼女はモディリアーニの死後、後を追うよう
にして自殺をします。それほどまでに傾倒していたモディリアーニ
へ向けられた彼女のまなざしに胸を射抜かれる感じに思えて、一
度見たら忘れられない、そんな不思議な肖像画でした。絵の前に
立つと、不思議で奇妙な異世界へと、引き込まれるようです。
モディリアーニは病により36歳の若さで夭折しました。

モディリアーニ  「帽子を被った若い男性」 1919年 (右)
最晩年の作品の一つで、それまであっさりしすぎた背景の塗りが
最終的にセザンヌのような深みにまで深化した感じです。案外美
少年だったのかもしれない若い男。彼を見て昔の青年の帽子姿
の良さを想います。モディの描いた人物画の作品って、優しい感
じのイメージがあるが、こちらを睨みつけるような感じで、少し怖
い印象を受けます。モデルが 「こんな顔してねーぞ!」 と言いた
くなる独特の画風をされています。今回の展覧会では彼の作品
が3点展示されていました。

    EE18244.jpg
       アンリ ・ マティス  「窓」 1916年
「色の魔術師」 と言われているマティスの爽やかで、美しい傑作
「窓」 はヨーロッパが第一次世界大戦中、混乱していた最中に
パリ近郊にある家の部屋から見た光景を描きました。この時期、
マティスは、キュビスムの影響を受け、この一見何気ない室内
画にも様々な幾何学的要素が組み込まれています。すべての
線や形が響きあって、マティスの得意とする絶妙な色の対比と
ハーモニーが全体を調和しています。

一見うま下手にしか見えないのですが、妙にしっくり落ち着き、
作品から 「飽きが来ない」 のは、構図の妙やマティスの絶妙な
色彩感覚のなせる効果なのでしょうか。 マティスのどこが良い
のか分からなくても、直線と曲線の調和が美しいこの絵の前に
立てば不思議と心惹かれるはずです。ほぼ実物大と思えるよ
うな大きさの作品でした。椅子に座って一人静かに眺めたい。

EE18242.jpg EE18243.jpg
アンリ ・ マティス 「ケシの花」 1919年頃 (左)
こちらもマティスの作品。花瓶に生けられ精一杯に伸びるケシの
花とグラジオラスが背後の屏風に描かれた花、東洋的な感じの
花瓶も、落ち着いた重心を与えていいですね。魅力的な屏風ま
であり、青い面は水を思わせ川が流れているようです。屏風の下
の部分が変な形に曲がっているのはご愛嬌です。後ろの方で老
夫婦が、これを見て 赤く咲くのは芥子の花~ と口ずさんでい
ましたが、昔の暗い歌を思い出したのでしょうが、この絵は決して
暗くないです。(笑) 古伊万里の器をみるようで気に入りました。

アンリ ・ マティス 「コーヒータイム」 1916年 (右)
アルジェリアとモロッコを旅したマティスが当時の経験を投影して
描いた 「東洋風の昼食」 とも呼ばれるオリエンタル作品。 オダリ
スクの女性たちやコーヒーもトルコ風で、モロッコ滞在の経験が
そのまま、衣装や小道具に投影されています。 そうした異国情
緒の一方で、構図は非常に幾何学的で、シンプルな形と色が
響き合いモダンな印象を与えています。エキゾチックな雰囲気
が印象的な 「コーヒータイム」 だったので、帰りは美味しいコー
ヒーを飲んで帰ろうと思いました。(笑)

EE19082.jpg 
EE19085.jpg EE19087.jpg
会場を出ると、ゴッホやモネの作品の立体複製画が展示され 「触れ
る複製画」 のコーナーがありました。リコーが独自開発した 「立体複
製画制作技術」 によって、絵画の 凹 凸 までリアルに再現されてい
るのです。ここは写真撮影や実際に絵に触れられることが出来ます。
複製画とはいえ、絵の具が厚塗りされたゴッホ作品に直に触れると
いうのは不思議な感覚でした。

映画 「ロボコップ」 の舞台としてもデトロイト市は有名ですが、数十年
かけて衰退と荒廃が進んだ。戦争でもないのに人口が減り続ける厳し
さ。人種差別も大変深刻。 デトロイト美術館を保有するデトロイト市は
2013年に財政破綻をします。 栄華を誇った、自動車産業が立ち行
かなくなったためです。 美術館が所蔵する名画も売却される危機に
面します。 しかし、市民の寄付や内外の資金援助で散逸することは
防ぐことができたそうです。自治体の予算を切り詰めるため、文化施
設を切り捨てようとする施策が横行する今日にあって、多くの人が
文化を共有することが、どれだけ大事なことかを物語っているよう
に思います。デトロイト市民が守り抜いた思いが伝わってきます。

EE19077.jpg
西洋絵画の美術展で撮影が許可されるのは今回が初めてのよう
ですが、市民に守られた美術品だからこそ、世界の多くの市民に
も公開し、写真として記憶に留めておいてほしいという配慮が、デ
トロイト美術館側にあったのかもしれませんね。ただ、写真を撮ろ
うとすると、撮ることに貪欲になってしまって、じっくりと鑑賞するこ
とがおろそかになってしまうきらいがあります。展示室では ”本物”
だけが語り掛けるその魅力を是非じっくりと味わいたいものです。

最後に、美術展の楽しみ方を・・・・・。
「あなたに1 枚差し上げます」 と言われたらどれを選びますか?
そんな風に考えながら見たら熱心に見ませんか?
そのうち自分の好きな絵の傾向に気づくようになります。
今日も一点、選んで帰ってください。





未分類 | TRACKBACK(-) | COMMENT(-) |










CALENDER
02 ⇔ 2017/03 ⇔ 03
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
AquariumClock 2
プロフィール

Author:takasan
ようこそ!

ちょっとした幸せな風景
あたたかな気持ち 
風船に乗せてとばします
拾ってくれた人の心に
ほんわかと届きますように。

ライブカメラ
最近の記事
リンク
このブログをリンクに追加する