一ヶ月に2回満月を迎える月を「ブルームーン」という。 そのブルームーンを見ると願い事が叶う・・・・。







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「出来心と律儀な子と」

...2015/06/21 09:35...

じめじめした梅雨は、ゆうつな気持ちになりがちです。
ちょうど梅の実が熟するころに降るため、「梅雨」 という
名前がついたようです。連日、汗ばむ陽気の日が続いて、
お財布と梅雨は、カラでは困るよなぁと、知人とぼやいていたら、
先週は一変して、各地で集中的に降る雨に戸惑った方もいよう。

その荒っぽい面が現れて、各地で大雨の被害が・・・・。
雨も必要ですが、「程々」 に降ってくれたらなあと思う。
降らなければ降らないで文句をいい、降ったら降ったで
もんくをいう。どっちなんだ? お天道様にそう叱られそうです。

昨夜、夕食時に手を滑らせて茶碗を落とし割ってしまった。
かみさん、「だから言ったでしょう。 ながらの食事はやめなさい
って・・・」、叱られてしょんぼりする自分に娘は笑いこけていた。

以前、東京郊外に出かけ、帰りのバスを待っていた時の
ことを思い出した。ハイキング帰りと思われる60代ぐらい
のご夫婦も同じ場所でバスをまっておられた。
のんびりとした午後のひと時でした。すると突然、「ガシャ」。
手に持っていたワインを奥様が落として割ってしまったのです。
帰りがけにと、産地のお土産にでも購入したのだろうか。

あたりは赤ワインと思われる香りが漂いました。
私は何をできるわけでもなく、ただぼうぜんとするだけ
でしたが、ご主人がさっと片付をし、割れた瓶も荷物にしまい、
ただ一言・・・・・ 「いい香りのワインだったね」。
奥様は 「ごめんなさい」 とひと言、おっしゃていました。

私とは別方向のバスで帰られたご夫婦のひとコマ。
残念とひと言も言わなかったご主人、
言い訳もせずに 「ごめんなさい」 と素直に謝った奥様。
素敵なご夫婦だなと思いました。我が家もそんな
夫婦でありたいと思う瞬間でもありました。(笑)

シトシト雨が降れば、田畑の土や穀物をうるおし、
その成長を助ける。山野の緑はいっそう青々と茂り、
草花の輝きも増して自然も息吹。
嫌われることのない程良い長さの 「恵みの雨」 に
なってもらいたいものですね。


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「出来心と律儀な子と」


桜の開花宣言が今か、今かと待たれる春先だったろうか。
高校のサッカー部員が韓国の高校との親善試合のため訪韓し、
日程を終えて自由時間に集団で万引するという衝撃的な事件
があった。万引した生徒らは、自分たちの “出来心” によって、
学校や日本人のイメージが大きく損なわれたという事実を
真摯に受け止めなくてはならないだろうと話題になった。
 「出来心」 だろうか。

先日、かみさんが買い物に行った店先で、傘立ての前で
今にも泣きそうになってる小学生の女の子がいたという。
自分のビニール傘を取り出すついでに 「どうしたの?」
と声をかけた。すると 「傘持って来たのに・・・・盗られたみた
いです」 と細い声で、泣きだしそうに答えたという。
外を見たら土砂降りだし手には買い物袋提げてる。
あんまり気の毒になって 「私は車で来てるから傘を使わない。
小さくて汚いけど使って、返さなくて良いから」 という感じの
ことを言って傘を差し出したようだ。

顔いっぱいに驚きを浮かべて 「いいです、貰えないです」 と
首を振る。「最近物騒だし女性でも警戒しちゃうんだろうなぁ」
と思ったらその子がすごく真面目な顔で 「だって貰っちゃった
らお姉さんにお礼ができないから」 と言う。
おばさんではなく、お姉さんといわれて喜ぶかみさん。
何て律儀な子なんだと思いつつ 「本当に安物だから良いよ、
使って欲しいから」 と渡すと 「私は○○小学校5年○組の○○子です。
絶対絶対返します。ありがとうございます!」 と、電話番号と名前を
聞いて、彼女は何度も振り返っては手を振って帰ったらしい。

何か本当に涙が出そうになった。
重ね重ね言うが、安物であげてもよかったけれど、
そうするとかえって女の子が気にしそうだから、というのだ。
後日、待ち合わせをしてビニール傘を返してもらったようだ。
わざわざお母さんも一緒に来て丁寧にお礼を言ってくれ、
二人で作ったというお菓子も頂いたようだ。

「出来心」。 もののはずみで出来た悪い考えで、これを
実行に移すと大抵は悲惨な状況に陥るハメとなります。
どんな修羅場でも、とりあえず 「出来心」 、こう言っておけば
その場はしのげる便利な言葉でもあり、その使い勝手の良さ
からか、犯罪者の言い訳として大きなシェアを誇っている現実。

しかし、傘を持ち去った人は、その裏には被害者がいることを
忘れてはなるまい。単なる出来心だけではあるまい。「理性で
物事の善悪 ・ 道理を区別してわきまえること」 が希薄なのだろう。
「瓜田李下 (かでんりか)」 という言葉があります。
人から疑いをかけられるようなことはしてはいけないし、
疑い を受けるような状況に身を置いてはならないという教えだ。

このような人が居なかったら、この女の子のように
困る人が少なくなるんだろうなって思ってしまう。
でも、傘が盗られたことで人の温か味が伝わったようだ。
地中で仲間と手を取り合い、助け合って根を張る
レンゲソウのように、この女の子には・・・・・レンゲソウよ!
大きくなあ~れ・・・と願わずにはいられない。


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「大英博物館展 2015」  ― 東京都美術館 ―

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上野の東京国立博物館で開催していた 「鳥獣戯画」 を観に出か
けたのですが、入場と会場内待ち時間が半端じゃなかったので、
いったん諦めて同じ上野公園内の東京都美術館で開催している
「大英博物館展」の方に変更して観覧しました。東京都美術館は
2012年4月にリニューアルオープン記念で開催された フェルメ
ールの 「真珠の耳飾りの少女」 来日以来で久しぶりです。

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東京都美術館は 「東京府美術館」 として生まれたのは大正15年
(1926)。大正が終わり、昭和が始まった年です。このころ上野公園
では、9月に院展 (日本美術院) と二科展 (二科会)が、10月には
文展 (文部省美術展覧会)がすでに開催されていました。 やがて
東京府美術館がこれらの会場となります。秋に展覧会が多く開か
れたことから、「芸術の秋」 の由来になったともいわれています。

いつでも美術にふれられる場がほしい――。
長年の悲願は、たったひとりの実業家の篤志によって実現しました。
北九州の石炭商・佐藤慶太郎氏が建設資金の全額100万円 (現在
の32億円相当) を東京府に寄付しました。石炭商として決して大手
ではない佐藤慶太郎氏は、アメリカの実業家カーネギーに倣い、全
財産の半分を社会のために使ったのです。 現在の建物は昭和50年
(1975) に竣工しました。日本で最初の公立美術館として開館された。
大規模改修工事を実施し、2012年にリニューアルオープンしました。

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ロンドンにある大英博物館は、人類の文化遺産の殿堂として世界
中のあらゆるコレクションを収蔵しています。膨大な品々の中から
100のアイテムをピックアップし、200万年にわたる人類の創造の
歴史を振り返ってみようという展覧会です。大昔につくられた石器
や土器から現代に製造されたごく普通のプロダクトまでが展示され
社会背景など、様々な 「歴史の断片」 を私たちに語りかけます。
一見して何げない日用品から教科書にも登場する芸術的な名品
まで、私たちになじみ深い文化が残した物にも、 思いがけない
発見があることに驚きます。

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東京国立博物館で開催していた 「鳥獣戯画」 の鑑賞を諦めた方
たちが、こちらの大英博物館展へ流れてくるだろうと予想、しかも
最も混雑しそうな時間帯です。思ったよりも・・・やっぱり混雑して
ました。(笑) チケット売り場には長い行列が出来ていました。

入場料は、65歳以上の方は1.000円 です。  私の前のご婦人方、
三人分と言って三千円を出したら、売り場のお姉さんから年齢確認
のためか 「証明書をご提示下さい」 と言われていました。 ブツブツ
言いながら提示していましたが、「 姿形を見れば判るのに 」 と一人
の方が言い、「もしかして、私たち年齢より若く見えるのかしら・・・」
「そうよ、きっとそうなのよ!」  こんな会話に売り場のお姉さんは
苦笑い、私は ( ̄m ̄〃) ぷぷっ! 

「大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史」
会期   2015年4月18日(土)~6月28日(日)
会場    東京都美術館 ・ 企画展示室
料金    一般 1.600円 学生1.300円 高校生800円
       65歳以上 1.000円

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最古の石器がつくられた人類発祥の地から現代のグローバル社会
にいたるまで、大英博物館のコレクションから厳選された、全8部門
を網羅する100作品です。 今回、目にすることができるのは映画
「ハリー ・ ポッター」 第1作に登場する《ルイス島のチェス駒》、日本
の教科書にも紹介されている《ウルのスタンダード》など、紀元前20
0万年をスタートにまだ文字のなかった時代から残された “もの言う”
歴史的遺物を依代に人類創世の歴史を辿るというものです。
一体どんな100点なのか、ドキドキしつつ会場に入りました。

第1章  創造の芽生え (200万年前~紀元前2500年)
200万年前に初期の人類が生み出した道具は、移動を繰り返す狩
猟生活の中で、中東、ヨーロッパ、アジア、やがてはアメリカ大陸に
まで広がっていきました。 そこには、単なる道具の域を超えた芸術
性、人類の願望の萌芽を見出すこともできます。

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「縄文土器 (深鉢)」 粘土に金貼り 紀元前5000年頃 日本 (上左)
世界最古の土器のひとつが、日本の縄文土器です。土器の網目模様に
ちなんで、縄文と名づけられた。土器を使った食料の保存や調理は、海
産物、肉、木の実、野草などの変化に富んだ食生活を可能にし、人間の
食生活に大変革をもたらしたようです。この鉢は、19世紀になって蓋が
作られ、内側に金が貼られ、茶事の際に水差しとして使われていました。
シーボルトによって持ち帰られ、大英博物館がシーボルトの息子から購
入したそうです。 今でこそ 「縄文土器」 と認識されるこの焼物を、当時、
何と思って見立てたのだろう。尽きない興味をかき立ててくれます。

「オルドヴァイ渓谷の握り斧」  石 140万~120万年前 (上右)
タンザニア オルドヴァイ渓谷
一見なんでもない石ですが、人類最初期の道具のひとつ。左右対称の
しずくの形で、完成形をイメージして計画的に作られたとみられます。こ
の握り斧は、石器時代のアーミーナイフであり、とがった先端はドリル、
両サイドの刃の部分は木や肉を切り、樹皮や動物の皮を剥いだりする
ときに使ったといわれる。道具の製作は、人類の祖先の脳が類人猿に
比べ発達した証拠でもあり、飛躍的に人類を発展させるきっかけになっ
たということですね。当時としては最先端の技術で興味深く拝見しました。

「トナカイの角に彫られたマンモス」  トナカイの角  (下)
1万4000~1万3500年前フランス・モンタストリュック
単なる古い彫刻でなく、これが武器の一部だった点に注目です。
解説によると、槍を手で投げるよりも遠くまで飛ばすための、投槍器の
先端に取りつけられたマンモス像だそうです。遠い祖先が物を作る高
い技術と想像力をすでに持っていたことは壁画などからも知られてい
るが、こうした実用的な物にも装飾が施されるようになったといいます。
長い鼻も角もないこの愛くるしいマンモスが人類最初のアート。

第2章  都市の誕生 (紀元前3000年~前700年)
北アフリカのナイル川沿岸、中東のメソポタミア、南アジアのインダス
などでは、およそ五千年前に最初の都市文明が誕生しました。
小さな村から大きな都市へと発展していくにつれ、支配者が出現し、
富と権力の集中が進みます。民衆を管理するため、伝達と記録の
手段としての文字も、この時期に発達しました。

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「ウルのスタンダード」  紀元前2500年頃  イラク

世界最古のメソポタミア文明の都市ウルの王家の墓から見つかった
箱で、発見当初は軍旗(軍旗の上につけられた旗頭)、つまりスタン
ダードとして使われていたと考えられ、このような名前が付いたという。
実際には何の用途か分かっていないそうです。ビッシリと埋め込まれ
たラピスラズリの深い青を背景に、白い貝殻で描かれた人々。工芸の
「美」 を楽しむ余裕が、四千五百年も前にあったことが、はっきりと見
てとれます。日本の教科書に載っていたので、まさか実物を見られる
とは。しかも、イギリスへ行かずして上野で見られる。二十一世紀に
生きる私たちをメソポタミア文明へと案内されてる感じで感動しました。

箱の表裏2面は、「戦争」 と 「平和」 を表しているようです。
「戦争」 面は、闊歩する兵士たちやロバが引く戦車で敵兵を踏み倒し、
(下右) 斧で殺される者もいれば、裸で縛られ王に差し出される者も
いる。「平和」 面には動物や魚などの物資、宴会中の王に運ぶ行列
が描かれている。 また、竪琴でメロディーを奏でる風景 (下左) も描
かれ、音楽を楽しむ余裕のある生活であった事が伺えます。両面とも
王の姿はひときわ大きく描かれ、豊かさが階級社会を生み出す一方
で、近隣都市との争いが繰り広げられていたことが読み取れます。

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「楔形文字を刻んだ粘土板」 紀元前3100~前3000年 イラク南部 (左)
筆記は、大勢の人々を指導者が管理する手段として発達しました。
この粘土板は最古の記録管理の一例で、労働者に配給するビールの
量がメソポタミアの楔形文字で記されています。 文字は右から左へ、
行は上から下へと読み、逆三角形の容器の形がビールを表し、水辺に
生える葦の先端を削って鋭い筆にし粘土に押しつけて刻まれ、日干し
して固められたため、何千年ものあいだ形を留めることができたようです。
こうして記録・管理すべき必要性が生じてこそ、文字の発明へとつながる
のだと思います。「もう少し小さかったらブローチにも出来そうで可愛い」
と後ろの女の子。 少し世代を感じて苦笑いしました。(笑)

「ラムセス2世像」  紀元前1280年頃  エジプト
工レファンティネのクヌム神殿 (右)
紀元前1279年頃から約66年にわたり精力的にエジプトを統治し、死後
も偉大な王として崇められ続けた古代エジプト第19王朝のファラオの像。
自らの像をエジプト各地に建てることで、民に権力と権威を知らしめた。
他にも、過去の支配者たちの像に自分の名前を上書きしたり、新しい都
市や神殿をいくつも建設して権力を主張。 冠を二つかぶっているのは
ナイル上流と下流、二つの王朝の支配者であることを象徴しています。
また右手に殻竿、左手に杖、これらは王の権力の証です。 彼の名声は
1000年以上経ったクレオパトラの時代にも鳴り響いたといわれます。

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展覧会場入口にはチェス盤と駒が設置され、映画 「ハリー・ポッタ
ー」 に登場する 「ルイス島のチェス駒」 と一緒に撮影ができます。
でも出る時、ここを通らないので、皆さん撮影のことは忘れてしまっ
ているようです。 5月中旬には10万人目の来場者があったそうです。

モノを通して人類の起源から現代までの歴史を見ていこうという極め
てオーソドックスなものです。しかし、この手の展示であれば、何より
も資料価値、研究材料として力を発揮する文書にまず注目、それに
沿う形で歴史的な出来事を掘り起こすことが多いですが、今回の展
示ではそういったフィルターを通さずにまずモノを通して視覚的に
歴史を感じてほしいという主催者の意向が感じられます。

第3章  古代帝国の出現 (紀元前700年~後100年)
大都市が建設されると、支配者たちは国の外にも目を向け始めます。
軍事力が発達し、支配の拡大が進むなか、世界は最初の帝国の時
代をむかえました。支配者は、彫像や貨幣に肖像を刻み、それらを
広く流布させることによって、大衆に自らの権威を印象づけました。

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「アウグストゥス帝の胸像」 大理石 酉暦1~40年 イタリア (左)
初代ローマ皇帝アウグストゥスは、ヨーロッパからエジプトを含む北
アフリカまで広大な地域を治めました。自分の権威を臣民に伝える
必要性に気づき、広大な帝国の各地に自身の彫像を立て、そのう
ち250体以上が現在するという。76歳で没したが、常に血気盛ん
な若者の姿で表され、その肖像は彼とローマの威光を示す不朽の
シンボルとなったようだ。 アウグストゥスは、まれに見る美男子で
あったという。 会場からも 「おおっ、超イケメンだわぁ」 の声が。
76才まで生きたとは、当時にしては随分長生きですね。この胸像
も教科書などで何度も見た気がします。実物を見るのは初めて。

「アッシリアの戦士のレリーフ」 紀元前700~前695年 イラク (右)
アッシリア人 (現在のイラク北部) は、軍事力に優れ、征服によって
中東のほぼ全域を支配し、当時最大の帝国を築いた。アッシリア軍
兵士は帝国各地から集められ、戦争ごとの徴集兵と常設の近衛兵
がいました。描かれているのは服装から左の弓を持つ戦士はアラム
人、右の槍を持つ戦士は地中海東部沿岸のレマント人で身辺警護
の近衛兵のようです。これも中学校時代に美術か歴史の教科書に
載っていてた気がします。紀元前の人々にこれだけの絵画技術が
あったということを思うと、人類はどれほど進歩したのだろうか。

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「金製のゾロアスター教徒像金」  紀元前500~前400年 (左)
タジキスタンとアフガニスタンの国境にあるオクソス川近く
2500年前に世界最大の国だったアケメネス朝ペルシャは、ゾロア
スター教を国教としたが、多宗教・多文化を受け入れる、稀にみる
寛容性を備えていたようです。その姿勢が200年以上にわたって
強大な帝国を支えました。この小像は、ゾロアスター教の聖職者。
ゾロアスター教徒は火を神聖なものと考えたため、火を灯すため
の聖枝を手に持ち、吐息で火を汚さないよう口を覆っています。
高さ5㎝ほどで本当に小さな像でした。どうやって細部まで作り
こんだんだろうと不思議に思いました。

「ロゼッタ ・ ストーン」  紀元前196年 エジプト/エル・ラシード (右)
大英博物館の代名詞ともいえる 「ロゼッタ ・ ストーン」 は、本展のた
めに原寸レプリカを特別制作し展示していました。 誰もが一度は耳に
したことがある超メジャーな歴史的遺物。 長らく謎とされていた古代
エジプト文字・ヒエログリフ解読のきっかけとなったことで歴史教科書
でもおなじみですね。

世界で最も有名なエジプトの遺産の1つ。これは、19世紀に研究者
達が古代エジプトの象形文字 (ヒエロクルフ) を初めて解読することで、
世界的に有名になった。縦1メートルくらいの大きな石に、細かい文字
がみっちり敷き詰められています。ストーンには3種類の文字で刻まれ、
上段にはエジプトの神官階級の象形文字 (聖刻文字・神聖文字)、中
段にはエジプト人の日常語デモティック、下段にはエジプト政府言語を
ギリシャ語で、同じ内容が書かれています。人間が文字を刻むという
本姓に心を寄せ、それは、後世の子孫たちに道しるしを与える人間
本来の姿であることを、認識させられるロゼッタ・ストーンでした。

第4章 儀式と信仰 (1年~800年)
西暦300年頃になると、仏教、ヒンズー教、キリスト教といった新しい
宗教が広がっていきます。同時に、それぞれの宗教に特有の図像表
現も生まれました。 かつての民間信仰の姿は、当時宗教的儀式で
神々に捧げられた供物や遺された彫像などの中に見ることができます。

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「アラビアの手形奉納品」   青銅 100~300年 イエメン (上左)
イスラム教以前に、イエメンで信仰されていたのは土着の神タラーブ。
この手はイエメンの街の護り神タラーブに捧げられた供物との解説。
青銅で出来た右手には血管が浮き出て文字が刻まれ、爪がくぼみ、
小指が不自然に曲がってかなりリアルでした。 手の甲の文字には
「・・・守護神の加護にそって自分の右手を捧げる・・・」 と記されてい
るそうです。当時は今よりも物や言葉に込められた力が信じられて
いたと思います。だから、願いや祈りの込められたものだろうと想像
したのですが、本物の手だと大変なので手形なんでしょうね。(笑)

「ガンダーラの仏像」  石 100~300年 パキスタン・ガンダーラ (上右)
シルクロード上にあったガンダーラからは、ギリシャ彫刻の影響を受け
た仏像が多く見つかっており、国際貿易とともに仏像も広まり、仏教の
拡大に役立ったと考えられています。それまで菩提樹や足跡などのシ
ンボルによって表されてきたブッダが、人間の姿で表されるようになっ
たという。穏やかな顔で静かに座る仏陀の衣の流れるような襞や彫の
深い顔、濃いお顔はやはり日本で見慣れたお釈迦様とは少し違う感
じでした。

「アメリカ先住民のパイプ (カワウソ)」  石 紀元前200~後100年 (下)
アメリカ・オハイオ州
喫煙の歴史は古く、2000年前の北米では、喫煙は宗教的な儀式の
ひとつだったようです。 当時は幻覚性のあるタバコが吸われており、
パイプに彫刻された動物は、魂を瞑想に導く案内人の役目を果たし
ていたのだろう。このような動物をかたどったパイプが、埋葬地から
多数見つかっています。 タバコはその後世界中に広がって行き、
ヨーロッパ人が喫煙を知ったのは16世紀。何種類ものパイプが
ありましたが、個人的には猫モチーフのパイプが好きだったなー。
右側の下の穴から吸うんでしょうか。 カワウソのパイプで吸うと
カワウソと鼻を突き合わせることになるようです。

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「年代別」 に詳しい説明とともに展示され、分かりやすく、歴史に
疎い私でも、「へー、この時代ね」 と、大きい年表をチェックしなが
ら、いやー、なかなか興奮しました。 しかし、世界各国から集めた
これらの遺産。エジプトや世界のいろんな国から貴重な遺産の返
還要求が数々なされているが、「運送に危険を伴う」 「貴重な世界
の財産が棄損されてしまう」 などとして多くが英国に留まっている
のです。中国の貴重な財物も数々ある。アヘン戦争あたりのごた
ごたから入手したものか。アメリカ南北大陸の文明遺産も並ぶ。
今後返還交渉がどれだけ進展するものかちょっと注目ですね。

第5章 広がる世界 (300年~1100年)
東西を結ぶ「シルクロード」の陸路と、季節風と港に恵まれたインド
洋の海路。西暦500年から800年にかけて陸と海に広がった交易
は、人や物資を運ぶのみならず、思想や宗教、言語にまで変化を
及ぼしました。ヨーロッパとアジアの交流が進む中、中南米では
独自の文化の発展が見られました。

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「モチェ文化の壷(戦士)」  粘土 100~700年 ペルー (左)
南アメリカで最初に組織的な国家を築いたのは、現在のペルーに
暮らしたモチェ族と呼ばれる人々だと考えられている。彼らは文字
を残さなかったが、独特な文化を発展させた。戦士の地位が非常
に高く、盾とこん棒を手にした若い戦士をかたどったような副葬品
が、エリートの墓に多く残されていました。 最初、壷だとは思いま
せんでしたが、近づいてみると確かに壺です。盾とこん棒を持った
戦士、一人ひとりが違う顔をしていました。

「ホクスンの銀製胡椒入れ」 銀 350~400年 イギリス・ホクスン (中)
古代ローマの上流階級の食卓は、「胡椒尽くし」 で、どんな食べ物
にも胡椒を加える。胡椒はヨーロッパでは取れないため、はるばる
南アジアから香辛料貿易にともないローマ帝国の隅々にまで運ば
れたようです。この胡椒入れは、お酒落なローマの貴婦人の形を
しており、胡椒の出る量の調節が出来るようです。 発見したのは
農家の人で、紛失したハンマーを金属探知機を使って探していた
ところ、金のアクセサリー、金貨・銀貨などの財宝が出たという。
しかも紛失したハンマーも見つかって、今ではそれも大英博物館
のコレクションとなっているという。

「唐三彩の官吏俑」  陶器 728年頃 中国・河南省 (右)
巨大な行政府によって組織されていた唐の社会では、官僚が重要
な役割を果たしていたという。これは唐の将軍の墓から出土した副
葬品で、死者が来世でよい待遇を受けるに値する理由を、冥界の
神々に説明する役割を担った。副葬品に官僚が含まれていることも、
彼らが唐の社会でいかに重要だったかを示している。 冥界の神々
との交渉人というところでしょうかね

第6章 技術と芸術の革新 (900年~1550年)
中世と呼ばれる時代、900年から1550年にかけて、芸術と科学技術
のめざましい発展が世界各地で遂げられました。美しさと機能性を
兼ね揃えた道具、卓越した技術や宗教心から生まれた絵画や彫刻
など、新しい発想と豊かな知見に根ざした工芸や芸術の数々が生
み出されました。

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「イフェの頭像」 真鍮 1300~1400年代初期 ナイジェリア・イフェ(上左)
イフェは西アフリカの中世の大王国で、商業 ・ 政治・宗教の中心地と
して栄えた。建設業者が家の基礎部分を掘っていた時に見つかった
彫像類のうちのひとつ。 優れた芸術性から中世アフリカに高度な文
明が発達していたことがわかり、アフリカの歴史と文化に対する認識
は一変されたといわれる。 この頭像は、イフェの王オーニと言われ、
王冠は、赤く塗られた羽根模様と多数のガラスピースで飾られ、
身に着けた人物の地位と富を示しているようです。

「聖エウスタキウスの聖遺物容器」 銀器、スイス・バーゼル 1210年頃(上右)
古代ローマ将軍で、トラヤヌス帝に仕えた聖エウスタキウスの遺骨を
おさめるための容器だと言われています。銀器に金を塗って作ったも
ので、髪の毛の部分にはバンドがまかれ、そこにはエメジストや水晶
といったローマ時代の宝石もはめられています。そして下の台には十
二使徒が象られていました。聖遺物とは遺骨入れのことですが、とて
も精緻な細工で、13世紀にはもうこんなに緻密な金工技術があった
のかと驚きました。

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「ルイス島のチェス駒」 牙 イギリス・ルイス島、1150~1200年 (下)
展示会で最も注目なのは映画 「ハリー・ポッター」 に登場したため、
世界で最も有名なチェス駒の「ルイス島のチェス駒」です。1831年
にスコットランドで発掘された物で、12世紀頃に作られたと推測され
ています。セイウチの牙やハクジラの歯を用いて制作されたこのチェ
ス駒は、見た目のインパクトから大変な人気を誇っています。チェス
の起源はインドですが、ヨーロッパでクイーンとビショップ(司教)が盤
上に加わったのだそうです。チェスは戦争ゲームでインドでは戦う像
の駒もあり、それぞれの地域の政治的・軍事又は文化に応じて駒も
変化したと言われています。

この中で一番大きなキングの駒が高さ約10cmあるとか。想像して
いたよりも、大きくガッシリとした造りに感じられました。話題になって
いたので、常に人だかりが絶えませんでした。「チェスだ!」 「良い駒
だね~」 「ルールよく分かんないけど」 といった反応が多かったの
ですが、「チェスやってみよう」  という人は一人もいませんでした。
(笑) 展示品6種が、小さなフィギュアになって売られていました。 
カプセルの中に収められ、どれが当たるかはわからない。 悩んだ
結果、1個買ってみることにしました。さて何が当たるでしょうか・・・。
当たったのがこのキングの駒。(下右) 背中部分まで浮彫は細密
だったので驚きでした。

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「へプライ語が書かれたアストロラーベ」 真鍮 1345~1355年 スペイン (左)
平面アストロラーベとも呼ばれ、古代の天文学者や占星術者が用い
た天体観測用の機器で、用途は多岐にわたり、太陽、月、惑星、恒星
の位置測定および予測、ある経度と現地時刻の変換、測量、三角測
量に使われたようです。真鍮でできた金色の懐中時計のような感じで、
1つで天体観測や計算もできて、星占いもできるという優れもの。
アナログコンピュータであり 「当時のいわばスマホのような機器」 と
紹介されていました。

「デューラ一作 「犀」 木版 1515年 ドイツ・ニュルンベルク (右)
インド犀は1515年にインド国王がポルトガル国王に進呈された時、
サイを一度も見たことがないドイツの画家アルブレヒト・ デューラーが、
説明書きやスケッチを元に想像で描き、完成させたこの木版画は売れ
に売れたそうです。日光東照宮の 「想像の象」 ならぬ「想像のサイ」。
まるで甲冑を着ているようなごつい格好です。でも、うん、確かに言わ
れてみればサイだな、と納得してしまう不思議さがありました。

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「なんだ、すいてるじゃん」 と思ったら、中が混んでいました。いや、
混んでると言うほどでもないのかもしれないけれど、展示物はほと
んどが緻密な彫刻。誰だって近くでじっくり見たいわけです。どうし
たって、列が進まない。列を離れ、後ろの方から覗き見ようとする
と、今度は細かい部分が見られない。悩ましい展示です。でもね、
解説の文章が面白いし、そこかしこに 「見てもらおう。見てもらい
たい」という気持ちを感じるのです。日本の仏像も見ましたが、イ
ンドの仏像を見た後だと「おや?」 と思いますね。雰囲気がぜん
ぜん違う。思うに、日本の仏像は、顔立ちが日本人なんですー。
なんか、ほっとするような感じがしました。

第7章 大航海時代と新たな出会い (1500年~1800年)
16世紀、ヨーロッパの探検家たちが世界一周に初めて成功します。
この出来事は、今日のグローバルな世界観につながる大きな一歩
になったとともに、新たな帝国主義と植民地時代の幕開けでした。

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「ベニン王国の飾り板」  真鍮 1500~1600年 ナイジェリア (上左)
ベニン王国は現在のナイジェリアにあったようです。この飾り板は
宮殿に飾られており、中央には支配者である 「オバ」、背景には
ポルトガル人が小さく描かれています。平等で協調的な関係が
築かれ、ベニンは象牙や胡椒、奴隷などを提供し、ポルトガル人
は大きな真鍮や青銅の腕輪を大量に持ち込んだ。これが飾り板
の原材料となったようです。

「カナダ先住民のフロックコート」 革 1800~1900年 カナダ (上右)
カナダの先住民族のひとつであるメティが、ヘラジカの革にアメリカ
ヤマアラシの針など、地元の素材を使って洋服のように仕立てたコ
ート。メティは、北アメリカの交易所に長く滞在したヨーロッパの毛皮
商人とカナダ先住民女性とのあいだの子孫で、先住民とヨーロッパ
人の双方からの影響を受け継ぎ、独自の文化を築いたといわれる。

「柿右衛門の象」 色絵磁器 1650~1700年 日本 (下)
当時の日本の陶磁器は中国の染付の影響を強く受けていて、
柿右衛門様式のような豪華な作品はヨーロッパの王侯貴族たちは
初めて目にするその華麗さに魅了され、自分たちの宮殿や邸宅を
飾るため財を傾けてまでも競って手に入れたといわれています。
江戸時代初期に佐賀県有田の柿右衛門工房で焼かれたもので、
中国式の白地に青という染付けに日本は赤と黄の上絵付けを加
えたことが成功し大当たりしたようです。中国製と思っていました
が、純国産なんですね。当時の日本の陶磁器技術に驚きました。

第8章 工業化と大量生産が変えた世界 (1800年~)
19世紀になるとヨーロッパとアメリカで産業革命が瞬く間に広がり、
工業化と大量生産の時代が幕を開けます。20世紀になると、産業
革命が世界に波及するとともに、植民地支配に抵抗する紛争や、
二度の世界大戦が引き起こされました。プラスチックなどの安価な
素材を使用した大量生産は、使い捨ての生活様式を生み、今日、
地球規模の環境問題にも繋がっています。

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「ビーグル号のクロノメーター」 真鍮 1795~1805年 イギリス (左)
進化論や 『種の起源』 で知られるチャールズ・ダーウィンが1831年
に世界一周の航海に出た際、乗船したビーグル号に搭載されていた
クロノメーター (機械式時計)。最先端技術が用いられ、海上でも使用
できるように設計された。当時船はロンドンのグリニッジから出港して
おり、その際に時計を合わせたことから、現在のグリニッジ標準時が
生まれたという。  『ビーグル号航海記』 を読んだことがあるため、
その船で実際に使われていた時計を見られて感激しました。

「バカラの水差し」 彫刻されたガラス 1878年 フランス・ロレーヌ (右)
水差し口に珍獣のような模様と、首から肩には細かい細工が施され
ている美しい水差しです。精緻な装飾そして透明感はヨーロッパでも
抜きん出た技術で、フランスの一流ガラスメーカーバカラ社がフラン
ス王室が所有するルネサンス期のクリスタル作品に着想して制作。
1878年のパリ万博のために特別に制作したもので、フランスの産業
技術とデザインがいかに優れているかを世界に知らしめる役目を果
たしたといわれる。バカラ社には日本も皇室からの注文され、すべ
てに菊の紋章がエッチングされえいるようです。

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「銃器で作られた 「母」 像」 金属、プラスチック 201年モザンビーク (左)
出展中で最も新しいものです。モザンビークの 「母像」 です。
遠目に見たら何で出来ているか分かりにくかったのですが、実のところ
素材は武器です。頭部は銃身、そして手に持つバックは銃倉から作ら
れていました。モザンビークでは1976年から内戦が勃発。92年まで
続きました。そして終戦後、残されたのは大量の武器です。人々は二
度と内戦はしないと 「銃を鍬に」 の平和プロジェクトを始めます。凶器
に新たな命を与えるという意味で、平和を祈って 「母像」 というわけで
すね。戦争の愚かさ、人が殺し合うことの虚しさを訴えているようでした。
世界の 至る所で 「 紛争 」 が勃発しています。数百万年という 時間は
経過していますが、人間の本質的なものは 「 大きく変わっていない 」
と痛感しました。

「クレジットカード」 2009年 アラブ首長国連邦 (右)
大英博物館にはクレジットカードまで収蔵されているのかと感心しつ
つも、よく見てみると、カード中央部には見慣れない幾何学模様。イス
ラム教の教義上、利息を課さないことを表しているのだそうです。銀行
は香港、クレジット会社はアメリカのVISA、カード製造発行はアラブ首
長国連邦と、国の垣根を越えた経済活動が簡単に行えるようになった
ことを示している展示物と言う感じでしょうか。クレジットカードが飾って
あるのを見て、ちょっと笑ってしまったのと同時に確かにこれも、人類
の“文化遺産”に違いありません。

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200万年前ってすご~~く昔のように思えるけど、人間が作って
きたモノというのは過去のモノをみてもあまり変わっていないもの
もあって、現代にも通じていて面白いと改めて気づかされました。
そして綺麗と思うモノも同じなんですね。

大英博物館の館長がビデオメッセージで、以下のようなことを言っ
ていました。「人間の200万年の歴史の中で、人間のやってきたこ
とは、そう変わらない。これまでの人々の営みを「モノ」を通して感じ
て欲しい。人間は大きな家族であることを感じるであろう。そして個
人の一生は、人間の連綿とした長い歴史の中で、ほんの偶然みた
いなものだ」。立ちはだかる巨大な歴史の証拠を前にして、頭をハ
ンマーで殴られたような気持ちになりました。

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「古代エジプトの棺」  木  エジプト 紀元前600年頃
実は展覧会の始まりは、人類発祥の地・アフリカからでした。展示は、
この 「古代エジプトの棺」 と、現代ガーナの 「棺桶 (ライオン)」 の
「過去と現在」 が象徴的に並べられたプロローグからの始まりでした。
紀元前の古代エジプトの棺と、隣には現代のガーナのガー族による
キッチュな棺が並びます。同じ棺とは思えませんが、どちらもインパクト
が大きかったので、最後に紹介します。

「古代エジプトの棺」
古代エジプトのミイラの棺は、「モノ」 が多くの物語を秘めている好例と
言われます。棺に書かれた古代文字・ヒエログリフを翻訳すると、棺の
中の人は 「 一家の女主人 」 と判明。蓋の上の顔が緑色なのは 「オシ
リス神」 との関係を物語っていると言われています。(下右) 赤い衣を
着た死者が手を引かれ、神々のもとへ導かれる。色彩や神々の図像
には幸せな来世への願いが込められています。(下左) 頭部に脳み
そを取り出した際に置き去りにされたと思われる 「へら」 が残っていた
ことから盗掘されたと思われ、さらにCTスキャンなどの科学技術が応
用されるに至って、近年、中に入っていたミイラが実は男性だったこと
が判明したという。 盗掘された後の棺をまた再利用されたようです。
棺を再利用するなんて、ちょっと気味が悪いですね。祟りがあるかも!

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「棺桶 (ライオン ・ ビール瓶型)」 2003年 (ガーナ 国立民族博物館蔵)

ガーナの棺桶は 「古代エジプトの棺桶」 との対比で展示されていた
もので、古代エジプトの棺桶が高貴な人物の偉業やその地位をアピ
ールするものであったのに対し、現代ガーナのそれは故人の生前の
キャラをアピールするものなのだそうです。狩猟好きだった故人のた
めの棺桶は巨大なライオンの形をしているし、飲んべえだった故人の
棺桶はビール瓶の形をしているという。まず最初に模型を制作し、注
文者のOKが出てから、実際の棺桶作りに着手するのが通常のプロ
セスなのだそうです。ナマズ型、カカオの実型などユニークなかたち
の棺の模型が並んでいました。

故人の好物の形に墓石を象るという事もあるようですが、でも、ビール
とナマズはわかりますが、カカオの実って? チョコ好きだったのかな?
ガーナにはこんな棺もあるんですね。古代エジプトの棺は来世に思い
を馳せ、ガーナの棺は現世に執着しているという対比が面白いですね。
これを展覧会の最初に持ってきたところが、色々考えさせられました。

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私たちが生きる現代を象徴し、未来に繋がる歴史の一頁を飾るの
にふさわしい ”モノ” はなんでしょうか?最後は、“101番目のモノ”
を展示する部屋で締めくくり、何らかの意図でつくられたモノたちを
見ることで、人間の創造の歴史を体感できたし、地球上のイキモノ
で、人類だけがこんなふうに 「モノ」 を作るんだよねって、しみじみ
実感しました。そして、もし何百年後かに同じ企画が行われたとし
たら、私たちが生きていた時代には何が展示されるんだろうか?
と、考えてしまいました。携帯電話をみて 「えー、これを便利と思
って使ってたんだ!!」 とか言われるんだろうか。人類の進化は
道具とともにあるということがよく分かる展示でした。
「モノ」 が語るから 「物語」 なんですね。

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いやー、なかなか興奮しました。世界史の授業で習った文明や
都市の名前が、次々に出てくるわけでして。 「これが、あの!」
と、何度も思うわけです。 100点って、けっこうな量です。そこ
そこじっくり見られたこともあるけれど、頭に流れ込んでくる情
報量は、すごいものですよ。 見終わった後は視野が広くなり、
思考が柔らかになるような気がするから不思議です。 久しぶ
りに訪れた上野は、アカデミックな雰囲気が心地よく、まさに
「百聞は一見に如かず」 でした。この後、再び 「鳥獣戯画展」
へ出かけ、長~い待機地獄を味わったのでした。(笑)





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